日本は食糧戦争に勝てるか

 サンプロを見ていたら、これからは資源戦争の時代で、日本ももっと食料自給率を上げないと資源戦争に勝てないというお話をしていたので、日本が手持ちの資源で食料戦争に勝てる可能性を探ってみた。

 まず、国民一人当たりの耕地面積と食料自給率の関係を調べてみた。

クニ 人口ジンコウニン 陸地リクチ面積メンセキ(km2) 耕地コウチ割合ワリアイ(%) 耕地コウチ面積メンセキ(km2) 一人ヒトリたり耕地コウチ面積メンセキ(m2/ニン 食料ショクリョウ自給率ジキュウリツ(%)
オーストラリア 20,434,176 7,617,930 6.15 468,503 22,927 237
カ ナ ダ 33,390,141 9,093,507 4.57 415,573 12,446 145
フランス 64,057,790 640,053 33.46 214,162 3,343 122
ド イ ツ 82,400,996 349,223 33.13 115,698 1,404 84
イタリア 58,147,733 294,020 26.41 77,651 1,335 62
オランダ 16,570,613 33,883 21.96 7,441 449 58
スペイン 40,448,191 499,542 27.18 135,776 3,357 89
スウェーデン 9,031,088 410,934 5.93 24,368 2,698 84
ス イ ス 7,554,661 39,770 9.91 3,941 522 49
エイ  コク 60,776,238 241,590 23.23 56,121 923 70
アメリカ 301,139,947 9,161,923 18.01 1,650,062 5,479 128
日  本 127,433,494 374,744 11.64 43,620 342 40


 人口、陸地面積、耕地割合に関しては、CIA で出してる The World Factbook、食料自給率については、農林水産省の「食料自給率資料室」 からデータを取得した。これらはウェブ上で公開されているので、誰でも検証が可能である。ただし、前者のデータは 2007 年頃のもので、後者のデータは 2003 年のものだが、これは他に資料が見つからなかったためなので勘弁いただきたい。耕地面積と一人当たり耕地面積は、これらのデータから単純に計算したものである。

 このデータを見ただけでも、一人当たり耕地面積と食料自給率にはかなりの相関がありそうに見えるが、実際に横軸に一人当たりの耕地面積、縦軸に食料自給率をとって、グラフにしてみるとこうなる。

arable-area-and-food-self-sufficiency.jpg

 この直線は回帰直線といって、仮にこの両者が正比例の関係にある(つまりグラフ上では直線で表される)と仮定した場合に、実際のデータとの誤差が最も小さくなるような位置と傾きで引かれた直線である。青い点の方は実際の各国のデータなのだが、どの点もかなり回帰直線の近くにある。つまり、各国の食料自給率の差は、かなりの部分耕地面積の差で説明できるということである。

 統計の知識のある人のために書いておくと、この両者の相関係数は 0.95 (有意水準 1% 以下で有意)であり、この回帰式の決定係数(寄与率)は  0.90 である。言い換えれば、 食料自給率の 9 割は一人当たり耕地面積で説明できると言うことだ。

 もっとも、回帰式が原点を通らないところはかなり気になる(耕地面積ゼロでも食料自給率がゼロにならないということだから(^^)。でも、水産資源まで考えれば辻褄合うのかも)。ひょっとすると、グラフの右の方にあるオーストラリアやカナダは、まだまだ生産効率を上げる余地があって、各国が生産効率限界まで生産すると、もっと食料自給率が上がるのかもしれない。たぶん、オーストラリアやカナダを外れ値として除外して直線を当てはめれば、傾きはもっと急になって、原点近くを通るようになるだろう。(あるいは、直線よりも限界生産性が逓減するような曲線を当てはめた方が本当はいいのかもしれない)。

 言うまでもないが、日本は一番左下にある青い点である。この点は回帰直線より下にあるので、日本は確かに耕地面積が狭いことを割り引いても食料自給率が低いということは言えそうである。ただし、逆にこの回帰直線から予想される日本の食料自給率は、約 64% でしかない。

 このままではどう見てもわが国には勝ち目がないので、仮に日本の国土すべてを耕作地にしたらどこまで食料自給率が上げられるかを計算してみた。つまり、一人当たり耕地面積の代わりに、一人当たり陸地面積を横軸にとって、それがこの回帰直線とぶつかる点から食料自給率を予想するわけである。もちろんこれは、山も都市もすべてつぶして農地にするということを意味するが、国家存亡の非常時であるからそんなことはかまっていられない。

クニ 人口ジンコウニン 陸地リクチ面積メンセキ(km2) 一人ヒトリたり陸地リクチ面積メンセキ(m2/ニン 予想ヨソウ食料ショクリョウ自給率ジキュウリツ(%)
オーストラリア 20,434,176 7,617,930 372,803 2,966
カ ナ ダ 33,390,141 9,093,507 272,341 2,184
フランス 64,057,790 640,053 9,992 139
ド イ ツ 82,400,996 349,223 4,238 94
イタリア 58,147,733 294,020 5,056 101
オランダ 16,570,613 33,883 2,045 77
スペイン 40,448,191 499,542 12,350 158
スウェーデン 9,031,088 410,934 45,502 416
ス イ ス 7,554,661 39,770 5,264 102
エイ  コク 60,776,238 241,590 3,975 92
アメリカ 301,139,947 9,161,923 30,424 299
日  本 127,433,494 374,744 2,941 84

 これをグラフにするとこうなる。

self-sufficiency-projected.jpg

 どうだろう。来るべき食料戦争に勝てそうな気になれたであろうか。  


 とまあ、少し思わせぶりに書いてみたが、私の本音は、だから日本は近隣アジア諸国を侵略して領土と資源を増やすべし、というのではもちろんなくて(^^)、そもそもこんな戦争勝てるわけねーだろー! やれ経済大国だのジャパン・アズ・ナンバーワンだのと言われ続けた記憶がいまだに忘れられないのかもしれないが、何を勘違いしとんじゃ、目を覚ませー! ということである(^^)。

 どうも日本人は、自分たちの国がいかに資源の少ない狭い国土にたくさんの人が住んでいる特異な国かということを、しばしば忘れがちであるように思える。こんな国が資源戦争に乗り出そうというのは、思想をどうこう言う前に戦略として間違っており、将棋で言うところの「筋悪」な手そのものではないだろうか。

 思えば、「あの戦争」も、資源のない日本が無理矢理領土を広げて資源を確保しようとしたのが始まりではなかったか。戦後その過ちに気づいた日本人は、資源を増やすことを諦め、貿易によって富を増やすという戦略に転換することによって、奇跡の復活をとげた。なのに日本人は、かつての教訓を忘れ、ふたたび資源戦争に乗り出そうというのだろうか。

 最近、サヨク系の人たちが反グローバリズムのあまりウヨク系の人たちと同じ主張をしだすという傾向が見られるが、思えば、大東亜共栄圏とかなんとかいうのだって、実質はともかく、名目上は反グローバリズムの主張だったわけで、だからこそ多くの国民が騙されたわけであろう。どうもそういうことを思い出して嫌な感じがしてしまうのはぼくだけだろうか。

 これはぼくの勝手な歴史観だが、多分、冷戦が崩壊したのは、米ソがにらみ合ってるのを尻目に、アメリカの核の傘を利用して無駄な軍事費を使わず平和な商売に専念して大儲けした日本を見て、米ソがバカバカしくなってしまった(あくまで比喩的にだが)のが一因じゃないかと思っている(^^)。そういう意味で、グローバリズムこそが日本の生み出した世界に誇るべき思想なのであって、日本はこの思想に賭けるしかないと思う。

 そもそも、資源のある国が資源を囲い込もうとしたり資源戦争だとか言い出したりするのはわかるが、日本のような資源のない国は、あくまでそれをさせないような外交努力をし、グローバリズムこそが世界を平和にするのだと世界に訴え、実際にグローバリズムを通じて世界の人を幸せにする努力をしていくのが本筋であろう。

 仮に、そういう努力も虚しく実際に資源の囲い込みが起こったとしても、そうなれば自然に農産物の価格が上昇するはずだから、国内農業の利益率も上昇して、市場原理によって自然に国内農業生産量も増えるだろう。だからいずれにせよ、先回りして先行投資することにそれほど意味があるとも思えないのだが。

 あるいは逆に、少子化対策などやめて、日本の人口を今の半分ぐらいに減らし、名実ともに小国として暮らす道を選ぶという手もあるかもね。まあ、どれぐらいの日本人がそれに賛成するかよくわかりませんが(^^)。

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政治ポジションテスト 外交編

 Yahoo! みんなの政治の「政治ポジションテスト」に「外交編」ができたので、一応やってみた。

あなたは「グローバル指向のハト派」です!

 まあそうでしょう。自分でもそう思ってますよ(^^)。

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太田光の鋭すぎる踏み込み

 「爆笑問題のニッポンの教養」を観てて、一瞬わが耳を疑った。ゲストは伊勢崎賢治。東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンなどの紛争処理を現場で指揮した、自称「紛争屋」さんだ。この人は、去年、マル激トーク・オン・ディマンドにも出演していて、それを観たときから面白い人だなあと思っていた。なにせ、机上の理論ではなく、実際に紛争のまっただなかに飛び込んで停戦や武装解除を実現してきた人だから、言葉に説得力がある。

 ところがなんと、こういう人に対して、太田光は、「あなた戦争が楽しいんでしょ?戦争がなかったら生きがいがないんでしょ?」てなことを言い放ったのである。

 ほとんど無礼すれすれ、いや、完全に無礼な発言に違いないのだが、伊勢崎氏は笑顔を崩さず、「いやあ、そのことは自分でも自覚してますよ。だから「紛争屋」なんて名乗っているわけでね」などとおだやかに返したのであった。

 ぼくはもちろんこのやりとりを聞いて驚いたのだが、決して不快な印象ではなかった。むしろ、太田のするどい踏み込みをギリギリで見切って受け流す伊勢崎という、一流の武道家同士の立会いを見たような気分だった。いいものを見せてもらいました、という感じ。

 もちろん、この質問のおかげで、視聴者は、リアリズムとロマンティシズムの間でバランスをとる伊勢崎の強靭なバランス感覚を感じ取ることができたであろう。ジャーナリストには、ときにこういう踏み込みが必要だが、たぶん、現在のテレビのインタビュアーで、あそこまで無礼な質問ができる人は、あと田原総一朗ぐらいしかいないのではないだろうか。

 いっそ、田原引退後は太田が朝生の司会をやればいいのではとも思ったが、よく考えると、太田が司会だったら、ゲストそっちのけで一人でしゃべりまくりそうだから、無理かもしらんね(^^)。

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ゴアさんとブッシュさんは大差ない

 ゴアさんがノーベル平和賞を受賞したというので、日本のマスコミもなんとなくゴアさんえらいえらいという雰囲気になっているようだが、ぼくはそういう現象をどうしてもあまり素直な眼で見ることができない。というのは、ゴアさんがブッシュさんに負けた 2001 年の大統領選のときのことを思い出してしまうからだ。

 あのとき、日本のマスコミはなんと言っていたか。ほとんどが、ゴアもブッシュも政策には大差ないと言っていたのだ。信じられない人は、新聞の縮刷版でもひっくりかえしてみるといい。その後、この二人がどのような道を歩んだかは、みなさんご存知の通りだ。

(もちろんそこには、冷戦の終了による共産主義の衰退とか、ネオコン/ネオリベの台頭とかにより、保守とリベラルの違いが見えにくくなっていたという背景があるのは確かなのだが)

 念のために言っておくが、ブッシュさんもゴアさんも、当選してから、あるいは、落選してから豹変したというわけでは必ずしもない。ぼくは、当時まだ若くてマジメだったから(というより、不健全な懐疑の精神に満ち満ちていたから(^^))、選挙中に両者の公約をチェックしてみたことがあるのだが、京都議定書の離脱だとか同性愛者に対するなんちゃらであるとか、その後ブッシュさんが物議をかもすことになる政策の多くは、当時からちゃんと公約に書いてあった。だからぼくは、後になって京都議定書の離脱とかで大騒ぎしているマスコミを見るたびに、「けっ、何を今頃騒いでやんでえ」とせせら笑っていたものである(性格悪くてすいません)。

 そういうわけで、以来ぼくは、日本のマスコミの海外報道というものを、あまり信用しなくなった。また、ぼくは当時からゴアさん支持だったのだが、今頃になって、ゴアはえらい、ブッシュは○○、みたいなステロタイプなイメージを喧伝している日本のマスコミの尻馬に乗る気にもあまりなれないのである(^^)。

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God's Jewish Warriors

 CNN International で "God's Jewish Warriors" というパレスチナ紛争の歴史を振り返った番組を観たのだが、あまりになんの救いもない話ばかりなので、くらーい気分になってしまった。

 ちょっと興味深かったのは、ユダヤ人とアメリカの福音派(Evangelicals)のクリスチャン・シオニストとの結びつきを描いた部分。まあ、よく言われる話ではあるのだが、知らない人のために説明すると、福音派というのは、ヨハネの黙示録とかをわりと字義通りに解釈する人たちで、その解釈によると、イスラエルの建国は最後の審判の前兆なのだそうだ。

 だから彼らはイスラエルを熱烈に支持しているのだが、おかしいのは、彼らの解釈どおりに最後の審判が実現すると、ユダヤ人は異教徒だから、最終的には地獄に落ちることになるというのだ。なんじゃそりゃ(^^)。

ここにスクリプトが書いてありますね。"It's controversial in part because in the judgment day scenario embraced by some evangelicals, Jews who don't convert to Christianity burn in hell." だそうですよ。)

 ぼくはいろんな宗教には寛容な方だと思っているのだが、もうね、このエバンジェリカルのクリスチャン・シオニストだけは、はっきり言ってキ○○イではないのか、と言いたくなることがある。キ○○イでなければ、カルトだよね。ためいき(チャーリーブラウン風に)。

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アルメニア人大虐殺

 恥ずかしながらぼくも知らなかったのだが、第一次世界大戦の頃にトルコ人によるアルメニア人虐殺という事件があったそうな。しかし、トルコ政府はこれを認めておらず、「歴史認識」に関する論争が長いこと続いているんだとか。

 で、これも日本ではあまり報道されてないから書くけど、先日、アメリカの下院が、この事件を「大虐殺(genocide)」と認定する決議案を承認したんだそうだ。

(特に、朝日が完全に無視してるのは不思議だ。読売や日経には一応出てるのに。こういうことするから、変に勘繰られるんじゃないのか)

 トルコという国は、イスラム教徒の多い国家であるにもかかわらず、イラク戦争でアメリカ軍に飛行場を提供したりして、多大な協力をしている。なのにそのアメリカにこういう決議を出されたんで、大激怒しているらしい。さらに、イラク北部に住むクルド人に対する迫害の問題もからんだりして、なんだかややこしいことになっているらしい。

 日本人なら誰でも、どっかで聞いたような話だな~、と思うだろうね(^^)。いろいろ考えさせられるけど、面倒だからここには書かない(^^)。

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Outfoxed: Rupert Murdoch's War on News

Outfoxed: Rupert Murdoch's War on News (Full)  ニューズ・コーポレーション DJ を買収するらしいというので、マードック氏について勉強しようと思って取り出したのが、ずっと積読(じゃなくて積視聴か?)だったこの「Outfoxed」というビデオ。Outfox というのは、もともと「裏をかく」というような意味だが、この題名ではそれを FOX テレビ(もしくは、FOX ニュース・チャンネル)の FOX にひっかけている。FOX テレビというのは、言わずと知れた米 4 大ネットワークの 1 つで、ここで放映しているニュース番組には保守寄りのバイアスがかかっているというので問題になっていることはご存知の通り。

 最初に購入したときには、マードック氏の経歴とか政界とのコネクションとかについて描いているのかと思っていたのだが、実際に観てみると、そういう話はほとんどなくて、むしろ、FOX ニュースがイラク戦争や大統領選挙のときに、どのような印象操作を行っているかを示す実例が中心だった。

 たとえば、"Some people say..." というような表現を使うことによって、 ニュースに製作者側の意見を忍び込ませる、というような印象操作テクニックがコメンテーターによって語られた後に、実際に "Some people say..." という表現が使われている FOX ニュースのビデオクリップの例をイヤというほど並べる、という感じ。

 これは、The Daily Show なんかでもよくやる手だし、最近では、YouTube なんかに投稿された一般の方が編集したビデオ(MAD っていうらしいですね)にもよく見られる手法であるが、実際の番組の雰囲気を短時間で効果的に伝えてくれる。( もっとも、これだって一種の印象操作なので、その点には注意が必要。)

 一番おかしかったのは、「子供の教育に悪いので(正確には、有名人が子供の悪い模範になっているとか言うなら、まず自分自身が)、"shut up" と言って他人の発言をさえぎるのはやめろ」と言われたビル・オライリー氏が、「私は 6 年間で 1 回しか "shut up" と言っていない」(よく聞き取れないけど、たぶんこう言ってるんだと思う)とか言い返した後に、ビル・オライリーが "shut up" と言ってる映像が山ほど挿入されてたところ (^^)。

 この例でもわかるように、実は、このビデオの主役は、ルパート・マードック氏というより、むしろビル・オライリー氏である。ビル・オライリー氏の横柄な態度や断定口調は、み○も○た氏などを彷彿とさせるところがあり、こういう手法が決してよその国だけの話ではないと感じさせる(^^)。もちろん、ビル・オライリー氏とみ○も○た氏では思想的バックグランドはかなり違うだろうけど。

Hannity & Colmes みたいに、わざと弱気なリベラル・コメンテータを入れて、両論併記を装う手法って、日本にもあったっけ? ぼくは日テレとかフジとかのニュースをあまり見ないのでわからないのだけど(^^)。そう言えば、こないだ News 23 で桜井よしこさんと姜尚中さんがいっしょに出てたけど、あれもそういう手法かなあ、とか言ったら殴られるか(^^)。橋本徹はただの変人だろうしなあ(^^))

 ある 9.11 犠牲者遺族の人なんかは、ビル・オライリー氏がテロリストを悪者にしようとしてるのに逆らって、政府の責任を追及しようとしたがために、9.11 陰謀説論者のレッテルを貼られてしまっていた。本編中でアル・フランケン氏も言っているが、これなんかは印象操作どころか、単なるウソではないかと思うのだが(^^)。

 Wikipedia の英語版の記事によれば、この作品にも FOX 側からの批判があって、本編中で元 FOX のディレクターとか言ってる人たちが経歴詐称だとかいう疑惑もあるらしい。だけど、ぼくのような日本人から見れば、そんなのは、たとえ本当だとしても、たいした問題じゃないと思う。FOX がどういう編集を行っているかは、コメントの信憑性がどうあれ、作品中に引用された大量のビデオクリップ自体が雄弁に語っている。

 そもそも、日本人にとっては、FOX ニュースの映像を見る機会がほとんどない。FOX のドラマなんかは BS でもやっているが、ぼくの知る限り、FOX ニュースについては、一部がインターネットなどで見れるのみである。したがって、このビデオは、悪名高い「FOX ニュースの印象操作」を、日本にいながらにして観れる機会を提供してくれる貴重な作品と言える。また、リージョン・フリーなので、リージョン 1 用の DVD プレーヤを購入する必要もない。残念ながら日本語の字幕はないが。

 最近は反米が流行りのようだが、このビデオを見たら、このような放送が行われている環境で、個人がどこまで冷静な判断力を維持できるか心もとなく思う方もいるのではないだろうか。だとすれば、これは必ずしも他人事ではなく、アメリカ人を笑っていれば済むような話ではない。こういうビデオを観ることは、アメリカの抱える問題を、海の向こうの傲慢な人たちだけの問題ではなく、自分たちと地続きのより身近な問題として捉えるためにも役立つはずである。

(余談だが、サウスパークとかデイリー・ショーとかの面白さだって、本当はこういう政治やメディアにおける保守とリベラルの対立の歴史とかを知らないと理解できないのである(^^))

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アメリカのドラマが面白いのか、アメリカが面白いのか

セックス・アンド・ザ・シティ シーズン 1  前から観たいと思っていた「Sex and the City」、オンデマンドTVにシーズン6まで揃っていたので、とりあえずシーズン1の全12話を一気に観てしまう(もちろん、仕事をしながら(^^))。期待に違わぬ面白さであった。

 狙っている線は、意外と「アリーmyラブ」なんかと近いと思う。ただ、アリーの場合には、フェミニストでありながらロマンチストでもあって、この両者の葛藤に振り回されるという感じなのだが、「Sex and the City」の登場人物の場合には、もう男女平等は当たり前の前提で、その上で女性としての人生も欲張って楽しもうと思っているという感じ。この作品では、そういう「進んだ女性(および男性)」の引き起こす騒動をコミカルに描いている。また、「アリーmyラブ」の場合、基本はドタバタながらも結末は浪花節的だったりするのだが、「Sex and the City」の狙っているのはもっとおサレっぽくシニカルなユーモアである。音楽も、「アリーmyラブ」ではアル・グリーンとかR&Bだったりするのに対し、「Sex and the City」はジャズである。

アリーmy Love ファースト・シーズン DVD-BOX  ぼくはこの手のアメリカのドラマとか「サウスパーク」とか大好きなのだが、ときどき、根本的な疑問を抱くことがある。それは、ぼくが面白がっているのは、アメリカのドラマなのか、それとも、アメリカの文化そのものなのかということだ(^^)。

 「サウスパーク」の面白さなんて、本当は、アメリカ文化についての知識が相当ないとわからないはずだ。かく言うぼくも、十年前だったらほとんど何が面白いのかわからなかったと思う。今も、一回観ただけで完全にわかるとはとても言えなくて、せいぜい2/3ぐらいしかわかってないだろう。そのようなぼくが「サウスパーク」のような作品を観る場合、頭の中である種の文化翻訳を行っている。このギャグは、アメリカ文化のこういう側面を反映しているんだろうなあ、と瞬間的に想像した上で、そうか、アメリカではこれがギャグになるくらいに、こういう文化が当たり前になっているんだなあ、と勝手に逆算して笑うという感じなのである。

 「Sex and the City」にしても、女性が性的に過激な台詞をバンバン言うのがギャグになっているが、あれも多分、実際ニューヨークにはそれに近い女性が結構いるんだろうなあ、ということを勝手に想像して笑っているわけである。だから、いったいぼくが笑っているのは、ドラマの作り手が意図的に作ったフィクションなのか、その背景にあるアメリカの文化なのか、なにやら自分でもあやふやな感じになってきてしまうのだ(^^)。

サウスパーク 無修正映画版  面白いのは、この作品はそのような過激なセックスネタ満載なのに、台詞には f**k や s**t などのいわゆる四文字語がほとんど出てこないということである。これはもちろん、媒体がテレビだからに違いなくて、映画だったら、これより遥かに穏健な作品でも四文字語出まくりだったりするのはご存知の通り。そういう状況を痛烈に皮肉ったのが、これまた「サウスパーク」の劇場版である「サウスパーク/無修正映画版」 であろう。これもオンデマンドTVで観たのだが、まさしく抱腹絶倒の面白さである。

(たとえば、検索してみればわかるが、あのいかにも荒唐無稽なVチップというのは、実は現実にも存在する。ただし、埋め込まれるのは脳ではなくテレビの方で、本来はコンテンツ規制のための装置である。)

(追記:「Sex and the City」のシーズン2を観始めたのですが、シーズン1よりさらに下品になっていて、F-word や S-word も結構使われてました(^^)。ケーブルだとこのぐらいはOKなのかな(^^)?)

 つまり、アメリカ文化にはかなりムチャクチャなところがあるのも事実なのだが、そのムチャクチャさを自覚してシニカルに批評する目もまた、アメリカの中に存在しているというところが、アメリカ文化の大きな特徴だと思うのだ。ひょっとすると、アメリカ人の多くは、そういうムチャクチャなところがまさにアメリカの個性であり、自分たちは自覚的にそういう存在であり続けているのだと思っているのではないか(^^)。

 ここから突然暴論モードになる(^^)。最近また反米が流行っているようだが、そういう反発の中には、どうもいまだに西欧コンプレックスの裏返しみたいなところが残っているような気がしてやりきれない。それよりも、アメリカ人というのは、他の国の人がやりたがらないような一種の人体実験を奇特にも率先してやっている人たちだと考えたらどうだろうか(^^)。そうすれば、日本人も、自分たちはあえて熟慮の末、危険なことには手を出さずに、おいしいところだけ持っていっているのだ、というプライドを持てるのではないか(^^)。もちろん、それを露骨に態度に出したら向こうだって怒るだろうし、アメリカ人がある程度の危険手当とか先行者利益とかリスク・プレミアムとかを手にすることは認めなければならないし、国際政治におけるアメリカの覇権主義の問題なんかはそれどころではすまないだろうけれど(^^)。

 そうやってアメリカ人を余裕を持って冷静に観察する態度を身につけるためにも、とりあえず、「Sex and the City」はお勧めです(^^)。

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核に関するいくつかの真実

 久間発言についての「New York Post」の社説。New York Post というのは、Fox テレビと同じく、ルパート・マードックのやってるニューズ・コーポレーションの発行するタブロイド紙で、かなり保守色が強いと言われています(日本で言えば夕刊フジみたいなものだと言ったらマズいかな(^^))。

 そのためか、かなり日本人の神経を逆なでする内容になっているので、まず大きく深呼吸して、覚悟を決めてから読んでね(^^)。


Some Nuclear Truths

New York Post
09 Jul 2007

核に関するいくつかの真実

太平洋戦争を終わらせた1945年の出来事について、日本の首脳部の一員が、記憶にある限りで初めて真実を語った。
そして、その発言は、彼の仕事、そしておそらくは政治キャリアまでもを犠牲とすることになった。
久間章生氏は、先週、日本の防衛大臣の職を辞することを強いられた。それは、久間氏が講演で、なぜアメリカが広島・長崎に原子爆弾を落としたかを理解できると述べた数日後のことだった。
「私は、原爆投下が戦争を終わらせと理解している。そして、それはしょうがないことだったと考えている(訳注:日本語の原文を引用するかわりに、わざと英語から直訳してみた)」と、久間氏は言った。ちなみに、久間氏は長崎出身だった。
さらに、久間氏は次のように言い添えた。「実際、この攻撃は2つの都市に大きな災厄を引き起こしたが、戦争が速やかに終結したことにより、日本は、北方領土の一部をソビエト連邦に奪われなくて済んだ。ソビエト連邦は、長崎に原爆が投下された日に宣戦布告して、日本が占領していた満州に侵攻した。」
そして案の定、政治的な大混乱が巻き起こった。
久間氏の発言は、歴史的には正しいのだが、日本の歴史修正主義者が考える第2次世界大戦における核兵器の役割とは完全に矛盾する。もちろん、日本人の核アレルギーを刺激したことは言うまでもない。
怒りに満ちた糾弾のただ中で、久間氏は謝罪を試みると同時に、公式に非難を受け入れた。しかし、抗議の声が絶えることはなかった。
久間氏は、覚悟を決めて火曜日に辞任した。それは、国政選挙に直面するその月になって、世論調査の支持率が30パーセント以下に急落したことに苦しむ安倍晋三首相にとっては、相当に有難いことだった。
もちろん、戦時中の問題で、日本が独自の見解を維持し続けているのは、原爆投下のことだけではない
ついこの3月には、安倍首相自身が、20万人のアジア人「従軍慰安婦」(訳注:という表現は正しくないとかなんとかいう議論があるのは知っているが、ここは慣例にしたがった)が性奴隷になることを、日本軍が強制したことはなかった、という主張により、国際的な批判に直面した。
久間氏の発言が、日本人の神経を逆撫でしたのは、日本がまさに、北朝鮮の大量破壊兵器の脅威による地域的な核問題を直視し始めたときでもあった。
それはまた、日中間に古くからあるライバル意識がよみがえりつつあるときであり、また、日