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WordPress じゃなくて Drupal

 昨日紹介したサイトのアクセスログを見たら、早速「wp-login.php」なんて入力してるいたずらっ子さんがいましたが、残念でした。CMS は WordPress ではありません。Drupal です。

 Drupal は私かなり前から利用してまして、調べて見るとこんな記事も書いてますから(今と比べるとずいぶんゆるい文体ですね)、少なくとも 7~8 年前から使ってることになります。

 当時は日本語の情報は皆無に近かったんですが、今では日本でも多少は知られるようになりました。でも、WordPress の圧倒的シェアに比べると、普及率は依然として1パーセントにも満たないようです。LAMP スタックに対応した CMS として、もっと使われててもいい製品だと思うのですが。

 私も各 CMS の機能を徹底的に比較したわけでもないので、あまり大きなことは言えないのですが、個人的に気に入ったのは、まず汎用性・拡張性・柔軟性。モジュールやテーマを使って好きなだけカスタマイズできること。

 そして特筆すべきは、タクソノミー機能ですね。これはいわゆる「タグ付け」を汎用化したような機能で、記事のタグ付けにも利用できるし、昨日のサイトの「用語集」みたいな使い方もできる。

 まあ、包括的な機能の比較は他のサイトを参照していただくことにして、Drupal が日本でなかなか普及しなかった理由は、三つぐらいにまとめられるんじゃないかと思います。

  1. 日本語の情報が少ないこと。
  2. デフォルトのビジュアルがダサいこと。
  3. 利用できるホスティング・サービスが少ないこと。

 1は、先ほどから書いてるように、近年かなり改善されつつあります。私が最初にインストールした頃は、日本語の書籍はもちろん、ネット情報さえほとんどありませんでした。今は日本語の書籍も少数(2点?)ながらありますし、ネット情報も「Drupal Japan」はじめたくさんあります。

 2は、あまり言われませんし、些細なことだと思うかもしれませんが、意外とバカにならないんじゃないかと思います。インストール直後のデフォルトのビジュアルが、他の CMS と比べて断然ダサい! 特にあの「Druplicon」とかいうマスコット・キャラクターはなんですか? 反抗期の悪ガキみたいな顔でかわいくもないし、萌えないし。

 しかも、インストール直後は最小限の機能しか入ってないから、サイトのビジュアルもそっけなくて全く魅力がないんですよね。Joomla! なんかは、インストール直後から結構見栄えがよくて、ビジュアル重視だったら絶対あっちに行くよな、と私ですら思います。

 そして3。特に組織に属していない個人がウェブサイトを作ろうと思ったら、だいたいがホスティング・サービスのレンタル・サーバーを利用するわけですが、レンタルはオンプレミス(自前サーバ)に比べて制約が多い。以前のホスティング・サービスでは、サービス側で対応していない限り、ユーザーが勝手に Drupal をインストールすることなどできませんでした。そして、ただでさえマイナーな Drupal に対応しているホスティング・サービスなど、滅多にありませんでした。

 ところがです。この事情も近年になって劇的に変ったのです。そう。VPS(仮想専用サーバー)の登場です。VPS なら、オンプレミスでできることは、ほとんどできる。操作の上で、自宅にサーバーを置くのとあまり変らないことが、レンタルでもできるようになったのです。したがって、当然 Drupal のインストールもできる。

 でも、「できる」ったって、理屈の上ではできるってだけで、実際には知識もいるし手間もかかるんでしょ? Apache や MySQL や PHP もインストールしなきゃならないし、それを Drupal に合わせてカスタマイズしなきゃならない。そんな面倒なことやってらんないよな。

 とお考えの、そこの奥さん。いや旦那さん。坊ちゃんお嬢ちゃん。ご老人。独身主義のみなさん。非モテさん。ゲイや TS の方々。みーんなご安心ください。素晴らしいものがあるのです。

 じゃじゃーん(ドラえもんがアイテムを出す音楽)。

AWS~!

 AWS は、あの Amazon さんのやっている「Amazon Web Service」のことですが、VPS のさらに進化したものと考えてください。AWS では、VPS でできるようなことができるばかりでなく、さらに先進的な機能が多数用意されています。そんなに機能があると、その分料金もかかるのでは? と思う方もいるかもしれませんが、料金は基本的にすべてオンデマンド。つまり、使った分しかかかりません。

 そして、その多数の機能の一つに、AMI(Amazon マシンイメージ)というものがあります。これは、仮想サーバーのハードディスクの状態をそのまま保存したもので、サーバーのバックアップにもインストールにもコピーにも使える優れものです。たとえば、仮想マシンに LAMP スタックや CMS をインストールした状態を AMI に保存しておけば、それとまったく同じ仮想マシンを瞬時に再現できるようになるのです。

 AMI がさらにすごいのは、AWS にはマーケットプレイスというものがあって、そこで作成済みの AMI を入手できるようになっていることです。マーケットプレイスというぐらいだから、基本的には有料ですが、実は、無料で提供されている AMI もたくさんあります。そしてその中には、LAMP スタック + Drupal をプレインストールされた AMI もあるのです。

 つまり、AWS に加入して、マーケットプレイスで LAMP スタック+ Drupal のインストールされた AMI を入手し、その AMI から仮想マシンを生成する。これだけで、Drupal の動くウェブサーバができちゃうのですよ。ウソじゃないです。ホントです。

 もちろん、その代わりに AWS の操作方法を勉強する必要はありますが、そんなのは、LAMP を全部初めから勉強することに比べれば、はるかに簡単でしょう。最近は日本語の書籍や資料もたくさん出てますし。

 というわけで、Drupal 推しから始まって、最後はなぜか AWS の宣伝になってしまいましたが、たまには、こんな記事もいいんじゃないでしょうか。

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「闇ネットの住人たち」準公式サイト暫定公開

 実はこの度、10 数年ぶりに出版翻訳を手がけました。前回はゴースト翻訳者で契約上書名すら公表できなかったんですが(J2ME と XSLT の本とだけ言っておきます)、今回は名前を出していい契約なので出します。 「闇(ダーク)ネットの住人たち」という本です。

 この本は、オーディションに合格して訳すことになっただけで、必ずしも自分で選んだ本ではないのですが、(読書家というのはおこがましいにせよ日本人の平均よりは多く本を読んできたぐらいのことは言ってもいいであろう私が)一読者として読んでもなかなか面白い本だと思うし、訳しているうちにだんだん愛着が沸いてきたこともあって、こんなサイトを作ってしまいました。

「闇ネットの住人たち」準公式サイト

 サイトの製作意図として念頭に置いたのは、主に以下の二つです。

  1. 読もうかどうか迷っている人の、判断の参考になる情報を提供する
  2. 読んでくれた読者の、内容や翻訳に対する疑問に答える情報を提供する

だから、プレスリリースより詳しい目の内容紹介とか、私の考える本書のセールスポイントとか、原著に対する英語圏メディアのレビューの(引用範囲の)翻訳とかもありますし、翻訳作業の裏話とか、参考文献のアマゾンリンクとか、本書に登場するネットスラングの対訳用語集などもあります。

 この手のコンテンツは、すぐステマだのなんだの言われてしまうご時世ですが、このサイトに関しては、訳者だと名乗っているのだがら、少なくともマーケティングではあっても「ステルス」ではありません。また、サイトの中にも書いたんですが、この本の報酬は固定料金買取であって、印税契約ではありません。しかも、その金額も実務翻訳の相場と比べたらはるかに安い金額で、出版不況だという噂は聞いていましたが、こんなにしみったれてるのかと私自身びっくりしたぐらいです。あ、この話はいいか。

(これは余談ですが、よく音楽のプロデュースをやってるムーンライダーズの鈴木慶一さんが、プロデューサの報酬は時給換算したらマクドナルドのバイト以下じゃないかという説がある、みたいなことを、「フライトレコーダー」か「火の玉ボーイとコモンマン」かどっちかで言ってたけど、私の報酬も時給換算したら、バイト以下どころか、ブラック企業以下どころか、最低賃金以下だと思いますね。承知で引き受けたんだから、今更言ってもしょうがないけど。)

 だから、もしこのサイトによって本書の売り上げが伸びたとしても、少なくとも私に対する金銭的報酬が直接的に増えることはありません。その上、このサイトのホストのレンタル料金、ドメイン名やSSL証明書の更新料金、サイトの製作・管理の人件費など、すべて私の自前です。だから、こんなサイトを作っても、少なくとも金銭的には、ほとんど損ばかりと言っても過言ではありません。

 もちろん、苦労して翻訳した作品ですから、無意識のうちにバイアスがかかることは否定できませんが、ネット上によくあるステマサイト・アフィリエイトサイトに比べれば、それほど売らんかなの姿勢では作っていないつもりです。だからまあ、あまり偏見を持たずに温かい目で見ていただきたいと思います。

 このサイト、暫定公開と言いつつ、実は数週間前からベータ版的に稼動していまして、それ以来コンテンツの追加や修正を繰り返していました。でも、このペースで更新を続けていると、いつ完成するかわからないし、今後しばらく忙しくなりそうなので、このへんで一度アナウンスしておくことにします(こんな過疎ブログで「アナウンス」することにどれほど意味があるのかわかりませんが)。今後も暇を見て少しずつ更新を続けていく予定です。

 本書の内容や翻訳についてのお問い合わせは、このサイトの「お問い合わせ」フォームからお願いします。時間はかかるかもしれませんが、できる範囲でなるべく対応するつもりです。

 追記: 本書の内容の抜粋は、「ニューズウィーク日本版」に3回に分けて連載されています(版元が同じなので、完全に宣伝です。為念)。だから、職場でニューズウィーク誌を購読しているような方は、内容の一部を試し読みできるはずです。ニューズウィーク誌の編集者の方によりスタイルの修正が入っていますが、訳者校もちゃんと入っているので、内容は基本的に同じです。

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 8/25 号 [温暖化 想定外の未来] Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 9/1 号 [中国の異変] Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 9/8 号 [持続不可能な中国経済]
第2章「一匹狼」より抜粋 第4章「3クリック」より抜粋 第5章「オン・ザ・ロード」より抜粋

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