« 内なるキリスト教徒 | トップページ | 極私的「けいおん!」名台詞集 »

イギリスから売掛金を回収する方法

 ウチのようなスモール・ビジネスが海外の企業と取引する際に、まず考えなくてはならないのは売掛金の回収方法だ。

 これがある程度規模の大きい企業なら、海外に支社があったり現地の法律事務所と契約していたりするから、法的手段に訴えることも容易だろうし、取引金額自体が大きいから、その一部を回収費用に当てることも可能だろう。

 しかし、うちのようなスモール・ビジネスでは、法的手段に訴える金や時間もバカにならないし、可能だとしても取引金額と比べたら明らかに割に合わない場合が多い。

 ところが、英米など一部の先進国には、このような問題を解決する極めて便利なシステムがある。それが Collection Agency (債権回収業者)である。

  Collection Agency は債権回収を代行してくれる会社だ。報酬は債権額の一定割合(通常 3 割程度)なので、回収したせいでかえって損するようなことはない。しかも完全成功報酬の会社が多い。つまり債権回収に失敗した場合には、報酬を払わなくてもよいのだ。そして、催促の手紙を書くことから裁判まで回収に必要なことはすべてやってくれる。

 国によって法制度が異なるので、どの国にも通じる一般論はないが、私は以前、イギリスのある Collection Agency を使って売掛金の回収に成功したことがあるので、そのときの手順を参考までに紹介しよう。

1.業界団体を探す

 まず大事なことは、ある程度信頼できる Collection Agency を見つけることだ。そのためには、業界団体の名簿から探すのが手っ取り早い。こういう団体には倫理規定みたいなのがあって、あまりひどい会社は除名されるようになっているから、ゼロから探すよりはリスクが少ないだろう。

 イギリスの場合、CSA (Credit Service Association) という債権回収業者の業界団体があるので、まずそのウェブサイト(http://www.csa-uk.com/welcome) の UK Member List というページを開く。

 このページでは、債権回収業者をサービスや地域別に検索できるようになっているので、[Search by Service] から [Business to Business Debt Collection] を選び、[Search by Region] から回収先の企業に最も近い地域を選んで、[Search] をクリックする。

 すると、検索条件に該当する Collection Agency の一覧が表示される。この一覧だけでもかなりの情報が入手できるが、ほとんどの会社にウェブサイトへのリンクが記載されているので、詳しくは該当企業のウェブサイトで調べたほうがよい。

2.業者を選ぶ

 各社のウェブサイトを調べて、さまざまな条件を比較し、自分のニーズに最も合った債権回収業者を選ぶ。私の場合は、以下のような条件に留意した。

  • 料金体系
    • 料金体系をウェブサイトに公開している業者と要見積の業者がある。当然公開している業者の方が安心感がある。料金はだいたい債権額の三割程度で業者によってそれほど差はないが、完全成功報酬であるかどうかは要チェックだ。
  • 回収手段
    • 事務的な回収しかできない業者と、弁護士がいていざとなったら裁判までやってくれる業者とがある。Skip Trace と言って、逃亡した債務者の捜索までしてくれる業者もある。
  • 国際取引
    • 国外の顧客を受け入れることを明示している業者も少なくない。明示していなくても、頼めばやってくれるかもしれないが。
  • ネットサービス
    • 連絡がネットだけで済むか、電話や手紙が必要かも重要な点。メールの方がコストも安いし、私のような会話の苦手な人間にとっては、メールの方が誤解が少ないし証拠も残るので安心感がある。
  • 歴史
    • あまり歴史の浅い業者は避けた方が無難。

3.依頼フォームを送信する

  ネットサービスの充実している業者の場合、オンラインで回収の依頼ができる。ウェブサイト上のフォームに債権の詳細を記入して送信するだけだ。必要があればメールのログなどを添付する。

4.応答を待つ

 あとは相手からの応答をじっと待つだけである。私の場合、フォーム受信確認の自動送信メールが来た後、一週間ほどなんの連絡もなかった。

 このような業者を利用するのは初めてだったので、本当にちゃんと話が進んでいるのか心配になりかけたころ、回収先の企業から売掛金全額が振り込まれてきた。

 実にあっけなかった。それまで何百回メールを出しても埒が開かなかった相手だったので、こんなに簡単なのかと思って拍子抜けしたのを覚えている。

 後は、規定の料金をクレジットカードで支払うだけ。なんの後腐れもなく取引は終了した。

・参考文献

Collection Techniques for a Small Business  債権回収テクニック全般に関する資料は JETRO のウェブサイトを含めて多数あるが、スモール・ビジネスの海外債権を対象とした資料となると実に少ない。

 そういった中で、この Collection Techniques for a Small Business という本は数少ない例外である。もともとアメリカのスモール・ビジネスを対象にした本だが、イギリスでもかなりの部分が通用する。

 内容も、Collection Agency ばかりでなく、信用管理・催促・小額訴訟の方法まで幅広く網羅されているし、Collection Agency に関しても、その仕組・選び方・使い方など、上では紹介しきれなかったことまで詳述されている。 是非参考にされたし。

・免責

 この記事は、個人的な一事例を紹介したに過ぎず、同じ方法による成功を保証するものではまったくない。参考にされる方はくれぐれも自己責任で。

|

« 内なるキリスト教徒 | トップページ | 極私的「けいおん!」名台詞集 »

国際関係」カテゴリの記事

経済」カテゴリの記事

翻訳」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/67762/53474028

この記事へのトラックバック一覧です: イギリスから売掛金を回収する方法:

« 内なるキリスト教徒 | トップページ | 極私的「けいおん!」名台詞集 »