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創作都市伝説

 ある一人暮らしの女性の部屋で留守電の呼び出し音が鳴った。

 彼女は仕事で疲れていたし、レンタルした映画を鑑賞している最中だったので、出ないで放置することにした。

 「ただいま電話に出ることができません。ピーという発信音のあとにお名前とご用件をお話しください。」

 一瞬の間があって、相手の声が聞こえた。聞き覚えのない男の声だった。

 「殺してやる…」

 なんて悪趣味な、一瞬そう思ったものの、彼女は気を取り直して映画の鑑賞を続けた。

 しばらくすると、再び呼び出し音が鳴った。

  「ただいま電話に出ることができません。ピーという発信音のあとにお名前とご用件をお話しください。」

  「殺してやる…」

 さすがに少し不気味に感じた彼女は、映画の鑑賞を続けながら頭の隅で考えた。

 確か非通知は着信拒否の設定になっていたはずだから、留守電のメモリーには相手の電話番号が残っているはず。このまま逃げられると思ったら大間違いだからね。明日になったら警察に通報してやる。

 映画が終わったので、彼女は留守電のメモリーを表示してみた。見覚えのある番号だった。

 『これ、あたしの携帯電話の番号だ…』

 携帯は確か、帰宅して真っ先に寝室の充電器にセットしたはずだけど、そう思った瞬間、またあの男の声がした。

 「気がついたかい?」

 振り向いた彼女が最後に見たものは、片方の手に彼女の携帯を持ち、もう片方の手に包丁を持った男の姿だった。



付記: アメリカで有名な都市伝説 "The Babysitter and the Man Upstairs" を日本の住宅事情に合わせてアレンジしてみました、という感じ。誰でも思いつきそうな話だけど、検索してみたら意外と同種の話が見当たらないので書いてみました。もし先例があったらごめんなさい。先例がない場合は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス で再配布可能ということでよろしく。

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