« 田原総一朗を超えてゆけ | トップページ | 大相撲と亀田と民主主義 »

「大聖堂」ってわりといいかも

 NHK の BShi で始まった歴史ドラマ「大聖堂」。ケン・フォレットの "The Pillars of the Earth" という小説をかのリドリー・スコットが中心となってドラマ化した作品。まだ 8 回シリーズの 1 回目を観ただけだけど、なかなか面白そうだ。

 まず単純にイギリス中世史の勉強になる。ぼくは世界史にあまり詳しくないので、一応ちょっとだけ調べてみたが、そもそも、このドラマの舞台となっているイギリスの「無政府時代The Anarchy)」を映像化した作品自体があまりないようだ。

 場所と時代が最も近い作品として「冬のライオン」という映画があるが、この作品に登場するヘンリー2世は「大聖堂」に登場する女帝モードの息子に当たるので、これもちょっとだけ時代がずれている。アーサー王伝説やバイキングや十字軍の映画は山ほどあるようだが。

 物語はヘンリー1世が海難事故(ホワイトシップの遭難)で世継ぎを失うところから始まる。そこでヘンリー1世は娘のモードを後継者にして、家臣に忠誠を誓わせる。この状況は豊臣秀吉が死ぬ間際とちょっと似ていて、淀君に当たるのがモード、徳川家康に当たるのがスティーブンという感じ。彼らは以後王位の継承をめぐって抗争を繰り広げることになる。

 個人的に興味深かったのは教会権力の描き方。 ほら、日本には宗教権力が強かった時代とか、宗教権力と世俗権力の二重構造の時代とか、あんまないでしょう? だから宗教権力が実際に日常生活のなかでどう働いていたのかとか、当時の人たちが自明視していた世界観とか、いまひとつイメージがわかないんだよね。天皇と将軍の関係とも違うみたいだし。

 たとえば、この作品の冒頭には、彼女にフラれて逆ギレした貴族が、主人公の建築士に約束した金を払わないで殺そうとするシーンがある。そのとき建築士の嫁さんが「神様が見ていますよ」的なことを叫ぶのね。そうすると貴族は殺害を思いとどまったりする。あるいは、建築士が出会った謎めいた女性が、建築士の家族に薬をあげただけで「魔女だ」「生死は神様のおぼしめし」「薬は罪」とか言われたりして。そのへんが面白いね。もちろん「無政府時代」の原因となった王座の継承権争いにも教会がからんでいる。

 まあこの作品がどこまで史実に忠実か、ぼくの知識ではわからないけれど、歴史に興味があってこのへんの歴史に疎い人には、それだけでも面白がってもらえるんじゃないかな。

 演出は最近の海外ドラマの演出に似ている。つまり、カットを短く短く切ってスピーディーにストーリーを展開するやり方。だから退屈ではないけれど、短時間に大量の情報が詰め込まれているので、集中して観ていないと伏線を見落としたりする。ぼくも一回ではわからない処が何箇所かあった。これは岡田斗司夫が言うように、ビデオで繰り返し再生することを前提とした演出法なんだろうね。

 俳優陣には、以前紹介した「プライドと偏見」にも出演していた、マシュー・マクファディンドナルド・サザーランドがいる。マシュー・マクファディンはトム・ハンクス的な煮え切らない表情が魅力的で、だんだん好きになってきてしまった。ドナルド・サザーランドも大滝秀治的な存在感があっていいね。

 ただ、この邦題は失敗だったと思う。この邦題のおかげで、ぼくは放送直前まで、「美の巨人たち」や「日曜美術館」みたいな美術番組だと思い込んでいた。まあ小説の方の邦題だから勝手に変えられないのはわかるけど。今でも美術番組だと思ってる人がいるかもしれないので、注意喚起しておく。

参考資料:

|

« 田原総一朗を超えてゆけ | トップページ | 大相撲と亀田と民主主義 »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/67762/50806795

この記事へのトラックバック一覧です: 「大聖堂」ってわりといいかも:

« 田原総一朗を超えてゆけ | トップページ | 大相撲と亀田と民主主義 »