a gift
いまさら言うまでもないが、人間というのは不思議なものだ。人格などというものは、煎じ詰めれば、脳の組織が外界からの入力を受けて変化した結果にすぎない。身体性などと呼ばれるものを人格に含めたとしても、やっぱり、肉体の組織が外界からの入力を受けて変化した結果にすぎない。そのような変化は、人間が死ねば、当然のことながら、きれいさっぱり失われる。
けれども、肉体が滅び人格が失われた後でも、その人格の記憶は人々の中に残る。記憶の中の人格は、その記憶の主の人格になにがしかの影響を与えるだろう。もちろん、その記憶の主もいつかは死ぬだろうが、その人格もまた、他の人々の記憶の中に受け継がれていく。
このような記憶の中の人格は、なまじっかな「思想」などというものよりも、はるかに強く人間を突き動かす力を持っている。そういう意味で、オカルトでもなんでもなく、肉体が失われた後でも、人間の人格は人々の中に生き続ける。ぼくらは、過去の人格に導かれながら、未来に向かって歩いていく。この能力は、人間という脳が発達しすぎた生物に、自然界から与えられた素敵な贈り物なのかもしれない。
-「矢野顕子 - ひとつだけ (Guest Artist: 忌野清志郎) 」を聴きながら。
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