Ballads for the Atomic Age
Radiq こと半野喜弘氏のニューアルバム「BALLADS FOR THE ATOMIC AGE」、これも遅まきながら入手。
これはたぶん、半野氏の Radiq 名義の作品の中では、もっとも出来がよいのではないだろうか。半野氏が Radiq というプロジェクトで追求してきたスタイルが、かなり完成に近づいているのではないかという印象を受けた。
Radiq 名義の作品が他の半野作品と最も違うところは、リズム隊である。半野氏は、確かにヒップホップやドラムンベースも手がけているのだが、これまでの作品では、ドラムやベースをあまり前面には出していなかった。特に、ブラック・ミュージック的なベースラインへのこだわりは、ほとんど感じられなかったと言ってよい。
その半野さんが、この Radiq というプロジェクトでは、ブラック・ミュージック的なヒップなリズム隊に、律儀なまでに固執している。当初はそれが、半野さん独特のデカンダンスな和声感覚や官能的な音色と、いまひとつ噛み合っていないようにも思えたのだが、ここに来て、それがいわば半野式ブラック・ミュージックともいうべき、一つのスタイルとして結晶しつつあるようだ。
これまで、半野氏の Rqdiq 名義の作品に関しては、中途半端なほめ方をしてきたぼくだが(それはあくまで、ぼくの半野氏に対する期待水準が半端でなく高いからであって、そんなことを言いつつも、どの作品もちゃんと購入して愛聴しているのであるが(^^))、この作品については、「Lido 」と「Angelus」の次ぐらいにはお勧めできるのではないかと思う。
ただ、一つだけ後悔していのは、他の作品はすべて CD で購入しているのに、この作品だけ iTMS で購入してしまったこと(忙しかったんです(^^))。エレクトロニカ作品は一般にそうなのだが、特に半野さんの作品では、音色の官能性が芸術的な強度を支えており、その美しさは、iTMS の 128kbps のビットレートでは必ずしも十分に再現できないのである。
ビットレート 128 kbps と 200 kbps 超では、女性にたとえて言えば、ティーンエイジャーの肌と 30 代の熟女の肌ぐらいの質感の差がある(^^)。その差は、普通のロックなんかではあまり問題にならないのだが、半野氏のような音楽では、ほとんど致命的な差となって感じられてしまうのである。
(ちなみに、前回とりあげたレイ・ハラカミ氏なんかは、エレクトロニカ・アーティストでありながら、あまり音色にこだわりのない珍しい人で、彼の作品は、128 kbps で聴いてもそれほど音楽の強度が低下する感じはしない。ただ、「EX MACHINA ORIGINAL SOUNDTRACK」のように、他のアーティストのトラックと並べて聴くと、彼のトラックだけなんとなく浮いて聴こえるのも確かなのだが(^^))
だから、これから半野氏の作品を購入しようと思っている方は、なるべく iTMS で買わずに、CD を買うようにして欲しいと思う。ぼく自身も、もう一度 CD を買い直そうと思ってるぐらいで(^^)、そうでないと、彼の真価は理解できないと思う。
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