専門家に対する敬意とは何か
(あるいは「『説明責任』とは何か」)
- はい、Studio RAIN ですが。
- もしもし、こちら鰓層証券のものですが。未公開株のご案内でお電話差し上げたのですが。お客様は未公開株ってご存知でしょうか。
- 一応、それなりには知っているつもりですが。。。
- たとえば、どのようなことをご存知ですか?
- ええと、よく詐欺のネタに使われるとか。。。
- ああ、みなさんそうおっしゃいます。でも、それは、マスコミがそういう事例ばかり選んで報道しているだけで、お客様はご存知ないかもしれませんが、本当は、未公開株で大もうけしている方もたくさんいらっしゃるんですよ。
- 本当ですか?
- ええ。たとえば、ニュースキャスターで有名な奮立さん。実は、あの方も、絶叫産業の未公開株で○○億円儲けられたんですよ。
- え? そうなんですか?
- はい。でも、そういうことテレビで言っちゃうと、申し込みが殺到して、自分が買えなくなっちゃうでしょう? だから、黙っているだけなんですよ。
- 本当ですかねえ。。。
- お客様は、Web2.0 ってお聞きになったことありますか?
- ええ、一応。
- でも、ピロリテクノロジーという会社のことなんかご存知ないでしょう?
- いや、知ってますよ。
- おや、どの程度のことをご存知でしょう?
- え、ハルキゲニアのウェブサイトをやっている会社でしょう?
- さすがですね。でもそれだけではありません。あの会社、あまり知られていませんが、実はオピバニアのウェブサイトもやっていまして、これで面白いように儲かっているんですよ。ご存知でしたか?
- いや、それは初耳です。。。
- 今、Web2.0 の会社はどこも大儲けでして。今日お勧めするヘリコバクターシステムも、前期の経常利益○○億円で、上場すればすぐ値段が3倍になるのは確実と言われています。
- え、そうなんですか? じゃあ、発行株数はいくらですか? 一株益は?
- それは残念ながら、守秘義務がありまして、発行株数だけはお教えできないんですけど。
- ええっ? なんですか、そりゃ? それに、Web2.0 なんて一時的な流行じゃないですか。今後どれだけ長続きするかなんて、わからないでしょう?
- お客さん。。。私は、この商売をやって二十年ですよ。あなたは、その私より株のことがわかるとおっしゃるんですか?
- いや、そういうわけではありませんが。でも、これは私にとっても重要な決断ですから、一応株に詳しい友達にも相談してみようと思うんです。
- お客さんのお友達ねえ。。。正直言わせてもらいますけど、たぶん、お客さんのお友達には、この株の価値はわからないと思いますよ。
- ええっ?
- お客さんって、年収どのくらいですか?
- え? なんでそんなこと言わなくちゃいけないんですか?
- だいたい○○万円ぐらいじゃないんですか?
- うーん、まあ、もうちょっと多いかなあ。。。
- 私、お客様とお話していてわかります。お客様は才能のある人です。本当はもっと稼げるはずなんです。でも、なぜそれだけしか稼げないかわかりますか?
- いや、わかりませんけど。。。
- こういう重大な決断を、自分だけの力でスパっとできないからです。そして、自分と同じ負け組の友人とばかり付き合っているからです。一流の人は、みんな一流の人としか付き合いません。これは、お客様の人生が変わるチャンスなんです。
- あのお、ぼく別にそんなに人生変えたいと思ってませんから。お話はそれだけですか? 今そんなに時間がないんで、失礼しますね。有益なお話、ありがとうございました。 (ガチャン)
※この話は、自分の実体験をいくつか組み合わせて作ったフィクションです。
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