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ナポレオン獅子の時代

 前に、息抜きとして歴史の本を読むという話を書いたけど、最近の興味は主にフランス革命時代。この「ナポレオン獅子の時代」というのも、その過程で偶然見つけたマンガである。

 この作品は、一言で言えば「いい人」の一人も出てこないナポレオンとフランス革命の話。一昔前の感覚だと、ナポレオンが主人公だったら、ヒーローにするか逆に思いっきり悪役にするかどっちかだったろうけど、この作品ではどちらでもない。もちろん、それ以外の登場人物も、フーシェみたいな悪役が定番の人まで含めて、ことさら美化するでもなく貶めるでもなく描かれている。

 と言っても、ピカレスク・ロマンみたいなものではない。なぜかというと、帯に安彦良和さんが書いているように、この作品にはロマンがないから(^^)。かと言って、ハードボイルドでもない。なぜかというと、登場人物の誰一人として、ゴルゴ13みたいにクールではないから(^^)。強いて言えば、筒井康隆氏が書く歴史物に近いかもしれないが、あそこまで徹底して戯画化されてもいない。そういう意味で、この作品は新しい感覚の歴史物と言えるかもしれない。

 考えてみると、ピカレスク・ロマンの登場人物なら、あえて悪の道を極めるところに自己陶酔を感じていたりするし、ハードボイルドの登場人物なら、あえて感情に流されず冷静さを保つところに自己陶酔を感じていたりするんだけど(^^)、このマンガの登場人物には、そういう自己陶酔みたいなものがなくて、もっとドライなんだよね。そこが現代的なのかもしれないという気がしないでもない(^^)。

(ちなみに、このマンガの中ではロベスピエールは「童貞」であり(^^)、サン・ジュストはテルミドールを生き延びてタリアンやポール・バラスの暗殺を図ることになっている。)

 もっとも、ぼくは最近マンガや娯楽小説をあまり読んでいないので、この作品が水準からどのくらい突出しているのかは、正直よくわからない。ひょっとすると、最近の作品ではこういう描き方が当たり前なのかもしれないし(^^)。

 また、人物の顔の描き分けがあんまりうまくないので、慣れないと誰が誰だか区別がつかないし、ストーリー的にも説明不足気味の点が多々あるように感じる。

 そういうわけで、個人的には大傑作という評価はしずらいのだが、佳作ではあると思う。少なくとも、最近マンガをあまり読んでないおじさんが読んでも、「そーかー、ナポレオンやフランス革命をこんな風に描くマンガが出てくる時代になったんだな~」ぐらいな感想は持っていただけるのではないかと思う(^^)。

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