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「パール・ハーバー」を観てしまった

 「アルマゲドン」が意外と楽しめたので、あわよくばと思って「パール・ハーバー 」も観てみたけど、さすがにこれはダメだった(^^)。と言っても、アメリカ中心主義がイヤだとか、時代考証がメチャクチャだとか、そういうことが言いたいわけではない。ぼくにとって問題だったのは、この映画がちっとも面白くないことである(^^)。

 そもそも、ぼくには、この映画を作った人たちがいったい何を描きたかったのかがよくわからない。イジワルな目で見れば、パール・ハーバーの映画を金かけて撮るという企画が先にあって、それだけでは盛り上がらないので無理やり恋愛・友情ドラマをくっつけただけとしか思えないのだが(^^)。まあとにかく呆れるほど焦点のぼけた映画である。

 仮に、この映画が戦争映画だとする。その場合、この映画のように史実を基にしているということは、結果は最初からわかっているわけだから、「アルマゲドン」のようにサスペンスをストーリーの原動力にすることはできない。また、戦争の悲惨さなどを描くにしても、パール・ハーバーをネタにすること自体に無理がある。というのも、パール・ハーバーでは、物的被害は甚大だったかもしれないが、人的被害は比較的少なく、しかもそのほとんどが軍人で、民間人の死者はごくわずかだったかったからだ。

 もちろん、多い少ないというのは相対的な評価だから、三千人だって 9.11 の死傷者にくらべれば十分多いという見方もあろうが、それこそイーストウッドが映画にした硫黄島では七千人、沖縄戦では一万二千人ぐらいのアメリカ人が死んでいるらしいし、「プライベート・ライアン」で有名なノルマンジー上陸作戦なんかでは三万人ぐらい亡くなったらしいからね。さらに言えば、そもそも、負けた方の枢軸国側ではもっと桁外れの人間が死んでいるし、勝った方の連合国側の中でも中国やソ連の方がはるかに死傷者数が多い。アメリカは人口が多いから、対人口比で計算すればもっと少なくなる。

 そのように、(相対的に)たいした被害を受けていないアメリカが、その少ない被害の中でも特に死傷者数の多くないパール・ハーバーをもってきて戦争の悲惨さを描こうとしているから、なんかしら無理な感じが出てきてしまう(もっと悲惨な状況をたくさん知っている日本人から観ればなおさら)。そこへ持ってきて、それ以外の悲劇的なエピソードもとってつけたようなものばかり。

 だからこそ、この映画では、病院に向かって機銃掃射したりして、無理矢理悲惨さを演出しようとしているのだろうが、そもそも、映画で戦争の悲惨さを描くということは、単に戦争で人がどんどん死んでればいいっていうような簡単なもんじゃないのである。そんなんだったら、わざわざ映画なんか見なくたって、死傷者数統計だけ読んでりゃいいはずである(^^)。

 では、恋愛映画としてはどうかというと、これもまったく評価できない。そもそも、ケイト・ベッキンセールがベン・アフレックに惚れる過程がわりと簡単に惚れたようにしか見えないし、ジョシュ・ハートネットに乗り換えるときも、わりと簡単に乗り換えてるようにしか見えない。そんなんで死んだと思ったベン・アフレックが帰って来て悩んでるのを見ても、そんなの自業自得じゃん、勝手にすれば? ぐらいにしか思えないのだ(^^)。それでこの三角関係をどう解決するのかと思いきや、一方のジョシュ・ハートネットだけが死んでしまうというお手軽さ。こんなのは恋愛ドラマの風上にもおけん(^^)。

 と言っても、もちろん、ケイト・ベッキンセールの貞操観念を云々したいわけではない。たとえば、北川悦吏子脚本の「愛していると言ってくれ」というトレンディ・ドラマ(死語)でも、本当は豊川悦司が好きなはずの常盤貴子が岡田浩暉と寝てしまうというくだりがあるが、最終的にはちゃんと説得力のあるハッピーエンドになっている。どうしてそうなっているかは、実作品を観てもらう他はないが、問題は、貞操観念というような社会慣習にしたがっているかどうかではなく、登場人物の行動に視聴者が共感できるか否かなのである。ブラッカイマー&ベイには、この北川悦吏子の爪の垢でも飲んでいただきたい(^^)。

  見比べてみると、「アルマゲドン」でもやっぱり人物描写にはかなり甘いところがあって、こっちにも出てるベン・アフレックの役にしても、自信過剰ではあるが穴掘り屋としては才能があるみたいな形に設定上はなっているが、描写の方は必ずしもその設定に説得力を与えてはいないのだ。ただ、「アルマゲドン」の場合には、地球を守るというミッションが明快で、それに成功するかしないかというサスペンスだけで押し切ってしまっているので、そういう人物描写の甘さとかをあまり感じさせなくてすんでいるだけである。たぶんこいつらは、なまじ「アルマゲドン」で小技を使って成功してしまったので、自分たちにはそういう人物描写に説得力がなければ成立しないような作品でも撮れると勘違いしてしまったのではあるまいか(^^)。

 まあとにかく、この映画は近年まれに見る大駄作だと思いました。もちろん、芸術映画ならもっとつまらない作品もたくさんありますが、これだけ大金をかけた娯楽作品でつまらないというのは致命的でしょう(^^)。 唯一の見所は、戦闘シーンの特撮ぐらいだけど、それすらも考証間違ってるらしいし(^^)。

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