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断言しない勇気

 仕事の関係で入手した、某外資系大企業のスタイルガイドを読んでいたら、こんなことが書いてあったので目の玉が飛び出そうになった。

The following shows ~(の訳)

は次のとおりです、次に~、次の~

注: 「以下」は、基本的に使用しない (ページの構成により、対象が「以下」の位置ではなくなることがあるため)

いやいやいやいや、ちょっと待てよ(松っちゃん風)。「以下」ってそういう意味じゃないだろう?  じゃあなにか? お前は縦書きの本に「以下」って書いてあるのを見たことないのか? 横書きの本は「以下」で、縦書きの本は「以左」になってたとでも言うのか? そんなわけないだろ!(^^)

 念のために辞書を引いてみると、やっぱりこう書いてある。

(文書などで)そこからあとに述べること。そこからあと。

(大辞林 第二版)

それ(そこ)よりあと. 

(三省堂 デイリーコンサイス国語辞典)

 つまり、以下というのは、あくまで前後関係であって、物理的・空間的に上か下かという意味ではないのである。普通はページの構成を変えたって前後関係までは変わらないから、「次」と「以下」の間にそういう意味での差があるわけもない。

 ところが、こういうのが困りもので、ぼくのような一下請け業者がいくらこれは間違っていると言っても、その声が某外資系大企業にまで伝わって、彼らがスタイルガイドを書き直すという確率は決して高くない。そして、これほどの大企業がスタイルガイドにそう書いてあれば、それを鵜呑みにして本当だと信じてしまう奴が必ず出てくる。あげくのはてに、オレの方が間違ってると言われて仕事切られたりするのである (^^)。

 コピペ文化全盛時代になってからというもの、こういう現象はちょくちょく目にするが、なんとかしてほしいものだ。何、そういうバカにならない方法なんて簡単なのである。このブログでも何度も書いているけど、確信のないことは断言しなければいいのだ。逆にもし断言したいならば、それなりに二重三重にチェックして調べればいいのだ。要は、自分の確信度に合わせて、表現の確信度も変えればいいだけのことである。

 こっから先は印象批評になるが、だから真の問題は、なぜ今の世の中、確信もないことを断言したがるヤツがこんなに多いのか、ということだろう。先日書いた、質問をしない若者という話にも共通するが、今の人は無知だと思われることを恐れすぎじゃないかという気がするのだが、いかがであろうか。まあ、ぼくみたいに露悪的なヤツも別の意味で問題だとは思うけど (^^)。

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