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雑弁亜目の昆虫被害の件について

  さて今回は、動物界節足動物門昆虫綱直翅目雑弁亜目のある昆虫の話である。この昆虫がいかに恐ろしいか、ぼくは子供の頃「大草原の小さな家」シリーズで読んだから知っているのだが、確かインガルス一家はこの昆虫のせいで家を引越す羽目になってしまうのである。もっとも、単にこのお父さんが堪え性がなくて引越し魔なだけだという人もいるが。

 先日も、ある大学の先生が丹精込めて作っている畑に、この昆虫が大量に襲来して荒らしまわったからさあ大変。激怒した先生は、昆虫の産地と思われる「疑問符」という農園に、ちょっとこの昆虫は品位がなさすぎるからなんとかしろと苦情を出した。それに対して、団子屋の団子会さんとか、餅屋の梅田餅さんとかがコメントを出して、町はちょっとした騒ぎになっている。

 この話は何度も書いたのでいい加減飽きているのだが、自分の立場を確認するために、言い方を変えてもう一度だけ書く。私は、リベラリストであり、かつモラリストである。リベラリズムとモラリズムが矛盾するとは思っていない。リベラリズムと矛盾するのは、リーガル・モラリズムであって、リーガル・モラリズムとモラリズムは違うのだ。これ以上説明するのは面倒なので、以上、立場説明終わり。

 で、この立場からすると、先生が昆虫の一匹一匹に、もっと行儀よくしなさい、と苦情を言うのは当然だと思うのだが、その苦情を「疑問符」に持ち込むのはどうかと思う。むしろ問題は、昆虫がどこでも好きなところに飛んでいけることにある。リベラリズムの立場にたてば、昆虫の品位や行儀などというものは、法律で規制するのではなく、ローカル・ルールや昆虫同士の相互監視によって守るべきものである。そのようなメカニズムが働くためには、ある程度閉じた空間が必要なのである。

(だいたい、この先生は確か、農場で発生した昆虫などについて、農場主にかかる責任は、なるべく軽くしたほうがいいという立場だったと思ったのだが。)

 このへんは、人間界だって同じことだろう。この先生は、こんな昆虫がいるのでは、真面目に畑を耕す人などいなくなるというが、人間界でだって、学術的に高度な話を駅前で不特定多数の人に向かって話している人などいない。そういう話をする人は、学会であるとか、なんとかシンポジウムであるとか、それなりの場を選ぶものであるし、そういう場にはそれぞれローカル・ルールがあって、そのルールにしたがう聴衆だけが集まる仕組みになっている。こういう仕組みは、リベラリズムとなんら矛盾しない。

 現在の網の仕組みに問題があるとすれば、そういう多様なローカル・ルールを作れる仕組みが、まだまだ未発達なことであろう。理想を言えば、「疑問符」は「疑問符」なりのローカル・ルールを設定すればよいし、他の農場は他の農場で別のローカル・ルールを設定すればいい。そして、どの農場がより栄えるか、自然の淘汰にまかせればよいのである。そうすれば、行儀のいい昆虫だけが集まる農場と、下品だけど活気のある農場との棲み分けなども自然にできていくだろう。下品な昆虫の嫌いな人は、そういう農場に行けばいいだけの話だ。

 一方、団子会さんや梅田餅さんは、たかが昆虫に大騒ぎするな、もっと強くなれ、みたいなことを言っているが、これもなんだかスポ根マンガみたいでついていけない。まあ、企業の新人研修とか芸人の罰ゲームとかだったら、わざわざ駅前で恥をかかせるような訓練もありかもしれないが、網の中にいる昆虫の大多数が、必要も無いのにわざわざ不快さに耐えながら暮らすことを選ぶなんてことがあるはずもない。そういうのが嫌な人は、上品な昆虫だけが集まる農場に流れるか、さもなければ、最初から網の中になんて入ってこないだろう。

 もし、そんな昆虫がたくさんいるなら、人間界にも、街頭ライブや辻説法をやって、「ヘタクソー」「うるさいぞー」とか言われて、「一般庶民の声が直接聞けてよかったです」とか言って喜んでいる人がもっとたくさんいるはずである。しかし、実際には、そういう人はごく一部の、特殊な目的をもった人たちだけにすぎない。大多数の人にとって、それは、不効用が効用を上回る、単純に損な行為でしかないのである。したがって、「みんな強くなれ」というのは、昆虫問題の解決策としては意味が無い。

 もっとも彼らは、みんな強くなれと言いたいのではなく、自分はこんなに強いんだぞと自慢したいだけなのかもしれない (^^)。それならそれで、別にどんどん自慢なさってくれてかまわないわけだが、私は、必要も無いのにそんなに強くなりたくないし、多分、今後そうなる必要に迫られることも一生ないと思う (^^)。

追記: 戦争になれば平気で人を殺せる人間の方が有利だ、っていうのと、戦争と平和とどっちがいいか、っていうのはぜんぜん違う問題だと思うんだけどね。人を殺せる人間を正当化するために、これからは必ず戦争になるって言ってるんじゃなきゃいいけど。まあ、自分で言ってるほどスルー力ないじゃん、みたいなことは言わないけどね(あ、言ってるか(^^))。ぼくはホントは、戦争になってもわりと死なない自身あるけどね (^^)。

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