谷川俊太郎が聞く、武満徹の素顔
「谷川俊太郎が聞く、武満徹の素顔」を購入。坂本教授のインタビューが載っているという話を聞いて購入したのですが、全体としてもいい本でした。
武満徹という音楽家は、すでに神格化されてしまっているので、批評もやたら持ち上げる批評が多いのですが、このインタビュー集は、生前の武満さんの友人でもある谷川さんが聴き手であるにもかかわらず、武満さんを一方的に持ち上げるだけではない、いろんな人の率直な意見が聞けています。そこがすごくよいですね。
前書きを読んでみると、武満徹全集の付録として行われたインタビューがもとになっているらしいですね。ぼくは全集を買ってないので知らなかったのですが (^^)。全集というのは主役を持ち上げがちですから、そう考えるとなおさら優れた企画だったと思うし、谷川さんの聞き方もうまかったんだろうなあと思います。
教授はいつもそうですが、いろんなこと配慮しつつも嘘のない率直な物言いをしていて、武満徹の音楽は百年後も残るだろうとか、でも武満作のポップスは少し「甘い」とか、まったく同感だなあと思いました。高橋悠治さんのインタビューも、「音楽より人が好きだった」と批判的なところはありつつも愛情が感じられていい感じです。 小澤征爾さんのインタビューは、武満さんの海外進出時の事情が垣間見えて面白いし、娘さんの真樹さんインタビューは、家族だからこそ言えるいろんな欠点なども率直に語っていて微笑ましいです。
個人的には、前に紹介した「武満徹-没後 10 年、鳴り響く音楽」 よりずっと面白かったですね。
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