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アラブとイスラエル

アラブとイスラエル―パレスチナ問題の構図  時節柄、中東紛争についておさらいしようと思って、放送大学でもおなじみの高橋和夫さんの「アラブとイスラエル」を読んでみました。 とりたてて奇をてらったことを書いてあるわけではないのですが、事実の取捨選択や配置がなかなか巧みであたまに入りやすかったです。

 この本は、著者自身が書いているように、いろんな出来事の国際政治的な位置づけに力を入れているみたいで、たとえば、トルーマンがイスラエルを承認したのはユダヤ人の多いニューヨーク州選挙の直前だったからだとか、アイゼンハワーがスエズ動乱で反イスラエル側になったのは、ちょうどハンガリー事件があったからだとか、パパブッシュがイスラエルへの債務保証を保留して和平会議に参加させられたのは、湾岸戦争で勝ったからだとか、そういう政治的な影響関係がわかりやすく解説してあります。

 ただ、イスラエル建国の過程の説明は、ちょっとあっさりし過ぎていると思う人もいるかもしれませんね。イギリスの三枚舌外交とか言われた「サイクス・ピコ協定」とか「マクドナルド白書」とかの話も出てきませんし、第一次中東戦争の説明も 5 ページぐらいで終わってしまうので、知らない人には、わりと簡単に国ができたしまったような印象を与えるかもしれませんね。

 また、これは出版されたのが 1992 年なので仕方ないのですが、中東和平会議が開かれる直前で話が終わっているので、その後のオスロ合意、ラビン暗殺、シャロン政権誕生、みたいな過程はいっさい書かれていません。

 したがって、読み終わった後で、また別の本を読みたくなる人も多いと思いますが、この問題について興味のある人が、初めて読む本としては、わりとお勧めできるのではないかと思います。

 まあしかし、こうやって改めて読んでみると、アメリカやイスラエルの行動にももちろん一貫性はないけど、アラブ側のプレーヤーも機会主義者ばっかりという感じですよね。ヨルダンの「黒い 9 月」では PLO を支援したのに、レバノン内戦では PLO に敵対するキリスト教徒側を支援したシリアのアサド大統領とか、PLO を支援するイランに戦争をふっかけて身動き取れないようにしたくせに、湾岸戦争ではアラブの大義を訴えたイラクのフセイン大統領とか、シリアと共同戦線を持ちかけたのに、自分だけ裏切ってイスラエルと和平してしまったエジプトのサダト大統領とか。。。

 つまり、「ワード・ポリティックス」のできるプレーヤーがいないと、結局「パワー・ポリティックス」で力の強いヤツが勝つだけ、みたいな感じもするのですよね。トルコのケマル・アタテュルクみたいなヤツがいれば、少しは事態は違っていたかも。アラブ人は誇り高いっていうけど、どうしてこうなってしまうのか。。。もっと頑張れ、やればできる子やから、という気もしてしまうのです (^^)。

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