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なぜ、ヒズボラの悪事は戦争を正当化しないか

 レバノン問題に関するイギリスの新聞の社説 (個人名だから社説は変か。なんていうの?) を部分的に訳してみました。ご参考まで。 この William Rees-Mogg という人は、イギリスの保守派論客のようです。


Why Hezbollah wrongs don’t make war right
WilliamRees-Mogg
The Mail on Sunday
23 Jul 2006

If one looks at the case from the point of view of the Israeli government, or from the point of view of ordinary Israelis, it is quite straightforward. Lebanon is a sovereign state, responsible for the actions of its citizens. An armed force of terrorists, committed to the destruction of Israel, has attacked Israel with many hundreds of rockets, causing substantial casualties. Israel’s response has simply been a matter of self-defence. Hezbollah is a terrorist force - and terrorists have to be defeated. Looked at from the point of view of the Lebanese, this is a different picture. Lebanon was just starting to recover, rebuilding shattered hotels, developing new businesses, attracting tourists, at last free of the Syrians. A lovely country, with rising hopes. Hezbollah attacked Israel, yes, but Israel attacked Lebanon, which was not Hezbollah. If Hezbollah committed an act of aggression, Israel committed an act of aggression in reply. We can take either side, or none. Perhaps it is best to take both. Those who say Israel’s attack on Lebanon was legitimate but not proportionate, that the attack on the Lebanese infrastructure will damage the whole future of the country, have a convincing case. Worst of all for Israel is its defeat in terms of world public opinion. All nations need to have friends. The Lebanese are not overawed, but they are angry and hostile to Israel. The world is not convinced that a few extra days of fighting would allow Israel to root out Hezbollah. The world is calling for a ceasefire. Israel replies by insisting on a few more days of bombing. That may, or may not, make military sense; it makes no diplomatic sense.

It may not embarrass President Bush, who still has his nation’s public opinion on his side; it certainly does embarrass Tony Blair, who does not.
イスラエル政府や一般のイスラエル人の立場からこの事件を見れば、話は極めて単純である。レバノンは主権国家であり、その国民の行動に対して責任がある。イスラエルの破壊に関与したテロリストの軍隊は、数百ものロケットでイスラエルを攻撃し、多大な犠牲者を生み出した。イスラエルの対応は、単なる自衛に過ぎない。ヒズボラはテロ勢力であり、テロリストは倒さねばならない、ということになる。

けれども、レバノン人の立場から見れば、認識は異なる。レバノンは、ようやくシリアから解放されて、まさに復興にとりかかったばかりだった。粉々になったホテルを再建し、新しい事業を育成し、観光客を呼び寄せようとしていた。そんな、希望に燃える愛すべき国家だったのだ。

確かに、ヒズボラはイスラエルを攻撃したが、イスラエルが攻撃したのは、レバノンであってヒズボラではない。もし、ヒズボラが行ったのが侵略行為だとすれば、その報復としてイスラエルが行ったのだって侵略行為だ。われわれは、どちか一方の味方をすることもできるし、どちらの味方にもならないこともできるが、おそらくは、両方の味方をするべきなのだ。

イスラエルのレバノンに対する攻撃は正当であったが、レバノンのインフラストラクチャに対する攻撃は、この国の将来に悪影響を与えたという意味でやり過ぎだ、というのは説得力のある主張だ。イスラエルにとって最悪だったのは、イスラエルが国際世論に対しては敗北したことであろう。国家にはすべからく友邦が必要である。レバノン人は、イスラエルに脅えるどころか、怒りや敵意に燃えている。国際世論は、イスラエルがあと数日の戦闘でヒズボラを掃討できるなどということを信じてはおらず、停戦を求めている。にもかかわらず、イスラエルは、あと数日爆撃を続けると言い張っている。

この主張は、軍事的に意味があるかどうかはともかく、外交的には筋が通らない。また、この主張は、依然として国民世論を味方につけているブッシュ大統領を困らせることはないかもしれないが、国民世論を味方につけていないトニー・ブレアを困らせることは確実である。

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