意識のズレ?
また asahi.com さんの記事なんですけど (誤解しないでほしいのですが、いつも朝日さんにばっかり文句つけているのは、ニュースを見たいときにはまず朝日さんのページを見るからで、他意はありません。むしろ、ぼくは朝日さんの愛読者なのです(^^))、「「主体性に自信」の大学生は3割 求人企業と大きなズレ」という記事、論理的に変じゃないですか。
なんでも、就職活動中の大学生と採用企業にアンケートをとったら、自分の主体性に自信を持っている大学生が 28% で、新入社員に主体性を求める採用企業が 84% だったということなんだけど。
まあ、「東証一部上場企業とインターネットの就職情報交換サイトに登録中の大学生を対象に実施」 というだけでも、かなりバイアスがかかりそうな気はするんだけど、それはまあいいとして。
何より変なのは、この記事では、この差をもってして「採用企業と学生の意識に大きな隔たりがある」としていること。だって、「意識のズレ」というのは、同じものに対して違う意識を持っていることでしょう? このアンケートでは、学生に聞いてるのは「自信」で、採用企業に聞いているのは「希望」なんですよ。そんなのズレがあるのは当たり前じゃないですか。
たとえば、「自分がいくらお金を稼げる自信があるか」と言う質問と、「自分がいくらお金を稼ぎたいか」という質問を考えてみてください。そんなの、まったく同じ人に質問したって、違う答えが返ってくると思いませんか?
これがもし、主体性が重要だと思っている大学生と新入社員に主体性を求める採用企業を比べるか、自分の主体性に自信を持っている大学生と社員の主体性に自信を持っている採用企業を比べたのならわかりますよ。でも、このように、かなり異質のものを比べて、「ズレがある」からなんだというのでしょうか この結果だけだったら、単に今の大学生が謙虚なだけで、実はすごく主体性があるのかも知れないし、採用企業だって非現実的な高望みをしてるだけかもしれないじゃないですか。
おそらく、この調査をした人は、「主体性に自信がある」を「主体性がある」の近似値、「求める主体性」を「必要な主体性」の近似値として捉えているのでしょうけど、それにしたって、その近似値にどれだけの誤差があるかの評価もなしに、直接比べるのはいかがなものか。
この記事には、経済産業省と楽天グループの共同調査と書いてあるので、朝日さんの解釈なのか、経産省の解釈をそのまま記事にしているだけなのかよくわからないけど。
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