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懐疑について

 またコンビニでサイゾーを買ったところ、中に筑紫哲也さんと元噂真の岡留安則さんの対談が載ってて、筑紫さんが「今の若者は『疑う』ということを知らなさ過ぎる」みたいな発言をしていました。まあ、こういうユルい発言にいちいちマジメにつっかかるのも大人気ないとは思うけど(^^)、「人を殺してなぜ悪い」というような懐疑論を突きつけた少年に対してあれだけ大騒ぎした筑紫さんが、今さらこういうことを言うのは、なんだかなあ、という気がしました。

 ぼく自身は、あのときも、ちょっとヒネくれた餓鬼だったらあの程度の発言はするよなあ、と思っていたので、実はそれほど驚かなかったんですよね(確か、小浜逸郎さんも同じようなことを言ってたと思うけど)。だいたい、自分自身も、中学・高校ぐらいの時はかなりの懐疑論者で、倫理や道徳からはじまって自然の法則に至るまであらゆるものを疑っていましたし。まあ、ちょうど時期的にポストモダンブームだったりしたんで、その影響もあったんだとは思いますが、一番大きな理由は、結局ぼくがバカだったからなんでしょうね(^^)。でも、世の中ボク程度にバカな子供は結構いると思うのです(^^)。

 実は、ホリエモンの「金で買えないものはない」発言のときにも、同じような印象を持ちました。もちろん、ぼく自身は、その発言は明らかに間違っていると思いましたけど、彼の年齢を考えたらね。30 才そこそこで、ちょっと才気があって、現実に世の中をブイブイ言わせてる奴だったら、その程度のことは言うだろうと思うんですよ。ぼく自身も、自分の倫理観を再構築して、そういうことがすべて間違っていると言い切れるようになったのは、30 才ぐらいになってからでしたもん。 まあ、批判する方々は、ボクみたいにバカじゃなくて、若い頃からもっと人間ができていらしたんでしょうけどね(^^)。

 もちろん、だからといって、そういう間違った発言を黙認しろといってるわけではありません。ただ、そういう奴に口でいくら説教したってたいした効果はないのであって、本当にそういう発言の非現実性みたいなものを悟るには、現実社会での経験に裏打ちされた自己了解みたいなものが必要だと思うんですね。逆に言えば、大多数の人は、時期が来れば自然とまっとうな道に回帰していくものだと思う。もちろん、ホリエモンのように、どんどん道を外れていってしまう子もいるんだけど、そういう子は、もともと理屈だけでは止められないのです。

 だから、例えて言えば、今の世の中の対応というのは、子供の屁理屈に対して、いちいちムキになって反論するくせに、子供が本当におイタをしても止められない、みたいな感じがするんですね。でも、本当に年長世代がやるべきことはその逆で、言葉自体は話半分に聞き流してていいから、致命的な暴走は確実に阻止するということでしょう。もっとも、それができるのは、ぼくらのような野次馬じゃなくて、もっと身近にいた当事者だったはずなんですけどね。

 だから、ぼくなんかが見ると、そういう現象というのは、何か今の大人の自信のなさを示しているように見えてしょうがなくて、ホリエモンや「人を殺してなぜ悪い」の子たちより、むしろそっちのほうが病理的なんじゃないかと思ってしまうんですよね(^^)。

 特に、筑紫さんの言うような懐疑というのは、情報としては、欠けているどころか、ある種陳腐化した形で世の中にあふれているわけですよね。その癖、筑紫さんだって、自分にとって都合の悪い、もっと本質的な懐疑は受け入れられないわけでしょう(^^)。彼らは、そういう「自動化された安直な懐疑」に対してノーを突きつけているのかも知れないし、そういう意味で、やっぱり反体制的なのかも知れないじゃないですか(^^)。

(言うまでもありませんが、若者にとって反抗すべき体制的なものというのは、別に政治権力とは限らなくて、大人が作った社会のシステムすべてが体制なのです。ですから、その中には当然マスコミというものも含まれるわけです。この図式を一番認識していないのが、ひょっとしたらマスコミの方々なのかも知れませんが、だとしたらちょっと認識が甘いといわざるを得ないと思います。)

 それでなくても、今の子は、そういう相矛盾する情報の中で自分の価値観を確立しなけりゃならないんだから、疑う以前に、何を信ずべきかを判断するので精一杯なんじゃないでしょうか。だから、それにある程度時間がかかっても仕方ないし、もっと疑えなどと言うのは過大な要求のような気がするんですけどね。

 ついでに言えば、筑紫さんは、News 23 での顔と、こういう雑誌とか週刊金曜日のコラムとかの書き方に、ちょっとギャップがありすぎるところが今ひとつ好感が持てないんだよね。まあ、イメージ戦略なのか、職業倫理なのか、よくわからないけど。こういうのを読むと、テレビではなんかいい子ぶってるように見えてしまうのですが、そのへん、ご本人はどう考えているのでしょうか(^^)。

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