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民主主義者の矜持

 ここ連日の朝日さんの社説では、皇室典範の改正に関する皇族の発言を問題にしていますが、民主主義者の私としては、リベラルの守護神(^^)たる朝日さんがこのような発言をするのに納得のいかないものを感じます。

 私たちが2日の社説で寛仁さまに「もう発言を控えては」と求めたのは、皇族としての制約を超えると考えたからだ。皇室の総意であるかのような誤解も与えかねない。細田氏の言うように、政治に具体的な影響を及ぼしているとしたら、なおさら見過ごすわけにいかない。(2006年02月04日付朝日新聞社説

 よく言われるように、義務や責任は権利や権力があるからこそ生じます。ですから、皇族であるというだけで発言が制約されるのであれば、皇族であるというだけで、自動的に政治的権力を持つということを意味します。つまり、この発言は、皇族が政治的権力を持つと言うことを認めてることになります。それが、リベラルの守護神たる(しつこい(^^))朝日さんの言うことでしょうか。もし皇族に影響力があるとしても、それは制度的なものではなく、文化的なものだし、また、民主主義社会においては、断じてそうでなくてはならないはず。

 文化的な影響力を持つものは皆政治的発言を控えなくてはならないなら、タレントやロックスターや「みのもんた」さんや他ならぬ朝日新聞のエディターさえも、みんな政治的発言を控えなきゃならないことになる。民主主義者であるならば、その人が政治的権力を持っていない限りは、立場にかかわらず、あくまで発言の内容に対して批判していくべきでしょう。

 天皇制は政治を超えた歴史と伝統の問題だという意見もある。だが、いまの天皇制は戦前と違い、国民の強い支持がなければ成り立たない。茶道や華道などの家元制度とは異なり、政治の土台にかかわる問題なのだ。(2006年02月04日付朝日新聞社説

 ここでもまた、天皇制が政治の土台にかかわる、などということを認めてしまっています。それが、リベラルの守護神たる(しつこい(^^))朝日さんの言うことでしょうか。憲法を素直に解釈すれば、日本の政治にとって必要なのは、国民の総意に基づく天皇が存在して、内閣の助言と承認のもとに国事行為を行ってくれることだけです。つまり、制度的に言えば、天皇は、国民の総意に反しない者で、国事行為を行える者であれば誰でもいいはずで、それ以上の細かいことは政治的な要請ではないはず。

 これがもし逆に、誰が天皇になるかによって、政治に大きな影響が出るようであれば、そんなのは民主国家とは言えないし、たとえ現実的には影響があるとしても、民主主義者であるならば断じてそんなことを認めてはならないと思います。

私たちは、一般論としては皇族であっても自由に発言するのが望ましいと思う。だが、戦後の憲法で国民統合の象徴とされた天皇には、政治的行為や発言に大きな制約がある。皇族もこれに準じると解釈すべきだろう。(2006年02月04日付朝日新聞社説

 前にも書いたけど、そもそも、象徴天皇制というのは、医学的生物学的には人間である方々の人権を剥奪する制度です。近代国家でこのような制度が成り立っているのは、天皇家の方々がそれを快く受け入れてくれているからです。したがって、将来の天皇制だって、天皇家の方々が快く受け入れてくれるような制度でなかったら存続できないのです。それを、当人の意思を無視して制度的に強制するようになれば、ますます人権侵害の程度が増すことになるでしょう。そのような人権侵害を肯定するような発言をするなんて、リベラルの守護神たる(しつこい(^^))朝日さんのやることでしょうか。

 朝日さんが、右翼的な暗黙の権力の影におびえるのはわからないでもないのですが、民主主義者であるならば、そんなものは断じて無視すべきです。以上、皮肉でも逆説でもアイロニーでもなく、直球勝負で真面目に書いたつもり。

(たとえば、これを一般庶民の話として考えて、長男は親の仕事を継がなければならないという時代遅れの法律があったとして、それを、長男と長女のうち先に生まれた方というふうに改正したとして、それが男女平等だと言えますか。百歩譲って形式的には言えたとしても、それで女性の権利が向上したとはどう考えたって言えないでしょう?)

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» 皇族の政治的発言と憲法の規範意味(上) [松尾光太郎 de 海馬之玄関BLOG]
font size=3皇室典範の改正に関する三笠宮寛仁親王殿下のご発言を巡ってここ数日世間が騒がしい。皇族は政治的な発言を差し控えるべきかどうかを朝日・産経の両全国紙がその社説で論じたからである。私はいくら個人のBLOGとはいえ、皇室に係わるイシューを興味本位で語る趣味はない。しかし、ネット上には、憲法4条1項の理解どころか憲法の基礎的な理解もできていないもの:到底そうとしか私には思えない主張も少なくないようである。蓋し、私の考えを記すことにした所以である。 fon..... [続きを読む]

受信: 2006.02.05 07:51

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