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ニヒリズムの境界

 堀江氏と小泉氏を無理矢理結び付けようとする論調に組するわけではないのですが、経営者と政治家には確かに一つの共通点があります。それは、一般大衆の支持によって成功・不成功が左右され、それをまったく無視することはできないという点です。

 民主主義社会の政治家は、一般大衆がときに判断を間違えるということを知っていても、一般大衆を完全に無視することはできません。いくら (主観的には) 正しいことを言っていても、それが有権者に支持されなければ、政治家になることすらできないのですから。

 同じように、上場企業の経営者は、一般投資家がときに企業の評価を間違えるということを知りすぎるほど知っていても、それをまったく無視して経営することはできないのです。

 おそらく多くの政治家には、自分がたいしたことを言っていないのに熱狂的に支持されたり、逆に、正しいことを言っているはずなのにブーイングを浴びたりという経験があるはずです。同じように、多くの経営者にも、たいした業績を上げていないのに株価が急上昇したり、逆に、将来性のある事業を着々とすすめていて本当は何も経営に問題がないにもかかわらず、株価がずる下がりするような経験をしているはずです。

 予想外の得票を得た政治家が、「私にそんなに票が入るのはおかしいので、辞退します。」とは言えないように、予想外に株価が上がった会社の経営者だって、「その株価は間違っています。そんな値段で買わないでください。」とは言えないし、むしろ、その株価を利用して儲けようとしなかったら、株主に対する背任になる可能性すらあります。

 ここで、単に正しい政治や経営をするだけではだめで、「一般大衆に支持されなければいけない」と思うだけならいいのですが、それがいつしか「一般大衆に支持されればなんでもいい」というニヒリズムに変わってゆくというのが、このような仕事が共通に孕む落とし穴であって、それは、政治家や経営者になろうと思ったことすらない私にも、容易に想像できるのです。

 もちろん、その危険を乗り越えるのが彼らの仕事ですから、私はこのようなニヒリズムの境界を越えてしまった者に対して同情はしないけれども、このような事件をきっかけにして、投資家のほうもより慎重に企業価値を評価するようになってくれれば、少しは社会にとって意味があったということになるかもしれません。

追記: この事件についても、たとえば、株価はつねに資産価値とイコールである (PBR= 1 (const)) というような仮定をおいて、ラ社がいくら儲けていたか計算してみるとよいと思う。(ぼくが自分でやってわかりやすく解説してもよいのですが、残念ながらいまそれほどヒマではないのです (^^))。そうすると、どこが本当にインチキなのか、もっとわかりやすく理解できると思う。たぶん、ゼロではないでしょうが (だからこそ擁護できないわけだが)、言われるほど儲かってないと思うんだよね (^^)。しつこいようだが、だからと言って、このような手法を使う経営者を、私は信用しませんが。

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