グレーゾーンニ分割論
いい加減ライブドアネタも飽きてきましたが、あの会社はもともとグレーゾーンでばっかりプレーしてたじゃないか、みたいな言い方がちょっとひっかかるので、そこだけ補足しておきます。
このグレーゾーンというのは、違法ではないが倫理的には悪に近い領域、という意味ですよね。言い換えれば、法律と倫理という二本の線があって、その間がグレーゾーンであるというイメージ。でも、私は、このような事態を的確に認識するには、線が二本では足りないと思っているのです。
たとえば、株主利益を基準に考えると、次のような線引きができると思います。
- とにかく、株主の不利益になりそうなことは一切してはならない。
- 株主の不利益になる可能性のあることをしてもよいが、適切な情報を開示する必要がある。
- 株主の不利益になることをしてもよいが、法律に違反してはならない。
ライブドアについて言えば、同じグレーゾーンと言っても、株式分割や MSCB の発行は1 と2 の間ぐらいで、今回判明した投資事業組合を介した自社株の売買などは、2 と 3 の間ぐらいなんですよね。
たとえば、板倉雄一郎氏なんかは、本音では 1 以外認めたくないようなんですが、実は、(もちろん、板倉氏も承知の上で言ってるんでしょうが)何が株主の不利益になるかということを客観的に判定して万人が合意に至るということはなかなか難しいんですよね。一見すると、無駄としか思えないような投資が、後で莫大な利益を生み出したなんていう事例は掃いて捨てるほどありますから。
また逆に、3 だけを基準にしてしまうと、今回のような法の抜け穴をつくような事例は、法が改正されるまで糾弾できないということになりますよね。だから、私としては、この 2 の線にこだわりたいわけなんです。
食品に例えるなら、1 は、農薬・合成着色料・合成保存料一切なしの自然食品以外はダメ、2 は、農薬・合成着色料・合成保存料などを使ってもよいが、適切に表示すべき、3 は、法律にさえ違反していなければ、何を使ってもよいという考え方に、それぞれ対応している、と言ってもよいかもしれません。
それで言うと、俺は自然食品以外食べない、という人がいても、個人の信条としてはよいとは思うし、実は、私自身の投資スタイルも、どっちかというとそれに近いのですが、だからと言って、農薬・合成着色料・合成保存料を使った食品を生産している会社はすべて悪だとか、そういう食品を食べている消費者はすべてバカだとか決め付けるのは、ちょっと傲慢すぎるだろう。でも、表示義務がないからと言って、怪しげなものなんでも使い放題という会社は、やっぱりひどい会社と言ってよいのではないか、というのが私の考え方なのです。
まあ、このたとえだと、いかにも私の考え方が一番中庸でバランスがとれてるみたいに聞こえるので、都合のよすぎる説明かも知れませんが (^^)。でも、線が二本では大雑把過ぎる、という意味は、少しは伝わったのではないでせうか。
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