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モラル・ハザードと悪者探しの関係

 nikkeibp.jp の「耐震強度の偽装問題は偶発的事件か、業界の構造問題か」という記事を読ませていただきました。不動産の専門家の方がお書きになっているということで、かなり期待して読んだのですが、どうも、お疲れになって感情的になっているのか、論旨が不明瞭なように思われます。

 この主張をわからないなりに無理して要約すると、

  1. 大多数の業界人は良心的である
  2. しかし、一部に、安全性を犠牲にしてまでコストダウンをはかる業者がいる
  3. したがって、競争に勝つためには、良心的な業者までがコストダウン競争をせざるおえない
  4. つまり、これは社会全体の問題である
  5. だから、悪者探しをやめよう

という感じみたいなのですが、なんか矛盾してませんか?

 だって、安全性を犠牲にしてまでコストダウンをはかる業者がいるから、モラル・ハザードが起きて良心的な業者までおかしくなってしまうのなら、その「悪者」を探して排除すれば、問題は解決するじゃないですか。だとすれば、仮にこれが「構造問題」であるとしても、それはせいぜい、「悪者」をすばやく発見して排除することのできない業界の「構造」に問題があると言えるくらいでしょう? だから、それを解決するには、やっぱり「悪者探し」をするしかないんじゃないでしょうか。

 逆にこれが、そもそもこの業界は良心的では誰もやっていけないんだとか、そもそも悪者を発見すること自体が原理的に難しいんだとかいうんなら、それは社会全体の問題かもしれないけど、ご自分で、そうではない、とおっしゃっているわけですから。どうもご主旨がいまいち納得できない感じがします。

 なんか、むかーしの左翼で、泥棒がいるのは資本主義社会の矛盾だから、泥棒は悪くない、みたいなこと言ってた人がいましたけど、ほとんどそれに近い論法のような気がするんですけどねえ。違いますかねえ。

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