借金 VS 現金
asahi.com さんの経済気象台で、現金 (自己資本) で企業を買収するのはいいが、借金で買収するのはよくないみたいなことを書いてますが、ぼくは、これは論理が逆ではないかと思います。
むしろ、余ったキャッシュで買うほうが、使途の制約が少ない分、恣意的にいい加減に使われやすいんであって、企業の「公益性」を重視するなら、パフォーマンスに厳しい制約のある融資金のほうがよい結果につながると思うんですが。(まあ、ライブドアの時の MSCB みたいなのはちょっと微妙な問題なので別にして。)
デットとエクイティの違いは、資本家側から見れば、デットの方がローリスク・ローリターンで、エクイティの方が、ハイリスク・ハイリターンであるということですよね。だから、逆に経営者から見れば、デットの方がハイリスクで、エクイティの方がローリスクということになる(このリスクという言葉の使い方はあまり厳密ではありませんが(^^))。だから、経営者にとっては、デットの方があまり危ない使い方はできなくて、堅実な運用を迫られるということになるはず。
この記事を書かれた方は、おそらく、LBO みたいなことを危惧されているのだと思いますが、LBO が濡れ手に粟の大儲けになるのは、市場価値と実際の企業価値との間に乖離がある場合だけでしょう。だいたい、担保分しか価値のないような企業ではしょうがないんで、それでは、みなさんのお好きな「人的資本」はほとんど企業価値に寄与していないということになってしまうではないですか。(もっとも、確かに放送局ってみんな PBR あんま高くないですよね。1~2 倍ってとこですか。まあ、借入金が少ない(財務レバレッジが低い)、ということかもしれませんが。)
どうも、まだまだ企業価値と市場価値に大きな乖離のあった時代の感覚で考えていられる方が多いような気がしますが、この乖離はだんだん狭まっていますし、また、狭まっていくような政策をとっていくべきだと思います。それが、健全な市場への一番の早道だと思うのですが。
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