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柴田昌弘氏の再評価を望む

 この歳になると、何を見ても、「こういうの前にもあったよ」とか「ありがちなパターンだね」とか思ってしまって、よーするに可愛げがなくなってくるのですが(^^)、現在上映中の「HINOKIO」という映画のあらすじを読んで、またしても、柴田昌弘氏の「ラブ・シンクロイド」というマンガを思い出してしまいました。

 「ラブ・シンクロイド」というのは、異星人の作ったアンドロイドに(感覚から運動神経まで)無理矢理同期させられてしまった地球人の少年の話で、その結果、少年は地球にいながらにして異星にいるのと同じような状態になってしまう。しかも、その星は実は、女性しかいない星で、そのアンドロイドを作ったのも、少年に一目惚れした異星人の少女だった。かつてはその星にも男性がいたのだが、今では男性を想起させるようなものを作ること自体がタブーになっていて、二人はその星の治安当局に追われることになる。そして、逃げ込んだ地下のダンジョンで、男性復活を企むグループに出会い、男性復活運動みたいなものに巻き込まれていく…という、一種の SF ラブコメ・アクションみたいな話なのですが、壮大なストーリー、正統少年漫画的なキャラクターの造形、メカフェチ的なリアリティのあるメカの描き込み、ややサービス精神の範囲を逸脱したスケベさ、のわりには保守的な恋愛観(^^)、みたいなものが絶妙の配分で融合した独特な世界を形作っていました。(フェミニストの方には怒られそうなところもあるけど(^^))

 最近、昔の漫画家の再評価が盛んなようですが、この柴田さんなんかも、再評価されてよい一人ではないかと思いますね。特に、「ブルー・ソネット」は漫画史的にもかなり大きな影響のあった作品だと思います。超能力者を利用して世界制覇を企む集団(^^)と、それを阻止しようとして戦う超能力者やサイボーグのバトルを描いた作品なのですが、阿蘇山を噴火させてしまったり船一隻爆破してしまったり、とにかくスケールが大きくかつ細部の描きこみが緻密で、マンガ(しかも少女マンガ)でここまでやれるのか、というカルチャーショックがありました。これだけスケールの大きいマンガは、その後も、「沈黙の艦隊」ぐらいまでなかったんじゃないかなあ。もちろん、今となってはたくさんありますけど。

 この作品を連載していたのは、たしかぼくが高校生ぐらいのころで、修学旅行中にも作品の続きが気になって、京都の本屋に飛び込んで「花とゆめ」を立ち読みしたことを覚えています(やってることがバカです)。

 「ブルー・ソネット」自体は、なんだかちょっと尻つぼみで終わってしまったんだけど、その頃の柴田氏は、他にもコンピュータの脳を持つ美少女を主人公にした「フェザータッチ・オペレーション」という SF ラブコメとか、傑作を連発しておりました(もちろん、柴田氏は今でも現役でご活躍中で、作品は英訳(あきらかにメイドフェチを意識してますね(^^))なんかもされています。)。

 いちおう、マンガ夜話にもリクエスト出しといたんだけど、まだ取り上げられてないみたいですね(^^)。

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