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ビジネスとしての競争、スポーツとしての競争

 今日のサンプロの特集はまたプロ野球ネタでしたね。プロ野球の問題について一つ思うのは、ビジネスとしての競争と、スポーツとしての競争を分けて考えたほうがいいのではないか、ということです。

 もともと、スポーツというのは、さまざまな文化活動の中でも、かなり特殊なアクティビティで、本質的に、わざと制約をもうけて手足を縛ってする競争なんですね。

 そもそも、スポーツのルール自体がそういうもので、単に速く移動するとか物を遠くに投げるとかいう目的のためなら、他にもっと合理的な方法がたくさんあるところを、わざわざこういうフォームで投げなくてはならないとか、こういうボールとバットを使わなくてはいけないとか、いろんな制約条件をもうけて、条件付き最適化の競争をする。それがスポーツの面白さなんですね。

 だから、結局金のあるヤツが勝つとか、素質だけで決まってしまうとかいうふうになると、なんかシラケてしまい、文化としての価値が下がってしまうわけです。

 一方、ビジネスというのは、イノベーションという言葉が尊ばれることからもわかるように、むしろ、手段を選ばないところに本領があるアクティビティで、なるべく制約の少ない中で、より大きな収益を生み出す競争をすることにより、社会全体のパイを大きくするところに価値があるわけです。

 もう一つ、重要なことは、ビジネスにおける価値(収益)というのは、各プレイヤーが独立して生み出しているのに対して、スポーツにおける価値というのは、全プレイヤーが共同で生み出しているという点です。

 したがって、ビジネスにおいては、ある程度企業間の格差が生まれても、全体としての収益が増えていればよい(もちろん、福祉の問題とかなんとかは別ですよ、為念)という考え方もできるのに対し、スポーツにおいて、あまりチーム間やプレイヤー間に格差ができてしまうと、それだけで文化としての価値が下がってしまうという違いがあります。

 ところが、プロ野球には、スポーツとしての側面とビジネスとしての側面の両面があって、この両面に競争という言葉が現れるので、この二つの競争を、同じものとして捉えがちなのではないでしょうか。そこに、プロ野球問題を混乱させている一つの理由があるように感じるのです。

 つまり、ビジネスとして、できるだけ多く客を集めるとか、関連商品をたくさん売るとかの活動については、球団ごとの独立採算にして、より努力をした球団ほど収益が大きくなるようにする、ということは、球界全体のパイを大きくするためにも合理的だと思うんです。

 でも、そのビジネスとしての競争を、スポーツとしての競争にリンクさせて、ビジネスの競争に成功した球団ほど、チーム力強化につぎ込める金も多くなる、というふうにすることは、文化としてのプロ野球界全体の価値を高めるためには、必ずしも合理的ではないんですね。

 そうすると、一つ考えられるのは、興行収入については独立採算のままにするが、チーム力強化のために使える資金は、なるべくどのチームも差がないようにして、その金額は、プロ野球界全体の収益に連動させるようにするというような方法です。

 実際、アメリカの大リーグでは、それに近い制度になっているようですが、そのことの意味っていうのは、こういうことだと思うんですね。つまり、ビジネスとしての競争と、スポーツとしての競争は別なんだということ。

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受信: 2005.04.03 19:23

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