参入防止価格
昨日の「日本の、これから」でもやってましたが、タクシー業界に対する規制を緩和したら、過当競争になってタクシー業者が苦しんでいるという話がありますが、そもそも、そんなに旨みのない業界に、どうしてそんなにたくさんの業者が参入してくるのか、どうも納得がいかないんですよね。
「ミクロ経済学 戦略的アプローチ」という、ゲーム理論をベースにしたユニークなミクロ経済学の入門書があるんですが、その冒頭に、これとよく似た話がでてきます。
その話とは、町に 1 軒しかないパン屋が独占利益を享受していたところに、別のパン屋が参入してきて、仁義なき価格破壊競争に突入してしまう。その結果、低収益に苦しんだ 2 軒のパン屋は、お互いに話し合って、利益はぎりぎり出るが、参入するほどの旨みはないという価格(参入防止価格)にすることで手を打つことにした、という話。
この参入防止価格というのは、利益が出ないほど安くはないが、寡占のカルテル価格よりはずっと安い価格になっている、というのがこの話のミソで、つまり、必ずしも実際に参入を許さなくても、規制緩和によって参入の可能性を作るだけで、コストダウンが実現されるということなんですね。
だから、このタクシー業界の話でも、いったん参入してから撤退するとなると、初期投資とかが無駄になってしまうので、ぎりぎりまで頑張るんだろうけど、規制緩和される直前に、先手を打って値下げをしておけば、ある程度参入を防げたのではないか、という気がちょっとしないでもないんですね。
まあ、自分で実態を真面目に調べたわけではなくて、ニュースなどで得た範囲の情報だけで言っているので、どこまで当っているかはまったく責任持てませんが、そういう印象を持った、というお話(^^)。
(そう言えば、某新聞で、ゲーム理論の紹介をするのに、いまどき「マクナマラの戦争」とかを引っ張り出してきたのにはちょっと驚きましたね。その後の発展まで含めて紹介するんならもかく、そこで止まってしまう認識は古過ぎやしないかい? (^^))
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