緊張感の効用
asahi.com さんに「企業とは何か」という記事が出てて、株の持ち合い復活を正当化するようなことが書いてあるんだけど、これって違うと思うんですよねえ。
前にも書いたけど、そもそも、会社を株主の「もの」ということにしたからといって、他のステークホルダーの利益が害されるとは限らないし、逆に、持ち合いを認めれば、ステークホルダーの利益が守られるという保証もなにもないと思うんですよ。
だいたい、単に株主の力を弱め、他のステークホルダーの力を強めたいだけなんだったら、別に持ち合いを認めなくったって、法的な制限を加えるとか、他にいくらでも方法があるはずです。
さらに言えば、この記事は、日本の株式市場は株価が低い -> 買収のリスクが大きい -> 企業防衛が必要、みたいなロジックになってるけど、逆だと思うんですよね。
むしろ、買収のリスクがないからこそ、健全な株価形成がされにくくなっているんであって、割安になったらいつ買収があるかわからないとなったら、一般株主も簡単に株を手放せなくなるので、投機的な動きが減って、健全な株価形成が促進されると思うんです。そうなれば、買収のリスクは逆に減るはずなんですよね。
しつこいようだけど、あんまり、誰の「もの」とかいう言葉にこだわらないで、いろんなステークホルダーの利益がバランスよく反映されるには、どういうシステムがよいか、というふうに考えた方がいいと思うんですけどねえ。
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