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砂糖の世界史

 歴史の本と言うのは、わりと受身で読めるので、最近、頭が疲れているときには、歴史の本を読むようにしているのですが、その中でも、この「砂糖の世界史」というのは、かなり面白かったです。

 要するに、砂糖を狂言回しにして語られた世界史(ウォーラーステインの世界システム論なんかが下敷きにあるらしいのですが、その辺の関係については正直よくわからない)、と言ってしまえばそれまでなのですが、ぼくみたいな無知な人間から見ると、興味深い指摘がたくさんありました。

 たとえば、そもそもサトウキビという植物の性質が奴隷制を生んだんだとか、淹れるのが難しいコーヒーと家庭でも淹れられる紅茶の違いがイギリスとフランスの文化の違いを生んだんだとか、産業革命が紅茶を中心としたイギリスの食事を生んだんだとか。

 白眉は、第8章の「奴隷と砂糖をめぐる政治」というくだりですが、これ以上ネタばらしをしては著者に申し訳ないので、興味のある人は買って読んでみて下さい。

 ちなみに、この本は、岩波ジュニア新書という子供向けのシリーズの一冊です。学問と言うのは、常に進歩を続けているので、いつのまにか学説がひっくりかえっていたり、昔よりわかりやすい説明の仕方が考え出されていたりすることがありますが、そういうニュースと言うのは、自分の専門分野についてはフォローできても、子供の頃習って当たり前のように思っていることについては、なかなか再点検する機会がありません。そういう意味で、子供向けの本を読むと、けっこう意外な発見があることが多いと思います。

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» 川北稔『砂糖の世界史』 [Die Sorge]
砂糖の世界史 川北 稔  結構有名な本なのですが、やっと読む機会にめぐり合いました。  すばらしい本です。  川北稔さんといえば、日本における近代世界システム史学の権威です。  20世紀半ばまで主流だったマルクス的発展段階論は、「どんな国でも奴隷制→封建制→資本主義→社会主義と移り変わっていく」とするものでした。すなわち発展途上国は、社会が未熟なために発展の初期段階にとどまっているというわけです。ここに先進国の功罪は問われていません。   世界システム論はこれを覆し、「スペイ... [続きを読む]

受信: 2005.04.28 23:44

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