あのー
Asahi.com さんの「株価を意識した経営」というコラムについて、どーしても一言言いたくなりました。別に、朝日さんに恨みがあるわけじゃなくて、今後も朝日さんにはリベラルの守護神としてがんばっていただきたいと思っているのですが(皮肉じゃなく)、なんか、経済関係の記事については、どーかと思うものが多いので。。。
この記事では、
一方古い体質の経営や経営マインドでは今の世の中、もう通用しないことも意味しているように思える。
と言っていて、その認識自体は正しいと思うのですが、その後こう書いています。
これからは株価を意識した経営が一層重要である。例えば多額の資本剰余金を持ち、かつ十分収益をあげているにもかかわらず、わずかな配当しかしていない企業が数%でも配当を増やせば、個人預金から株式への資金シフトが起き株価も上昇し、配当を受け取った株主は消費へも金を回し、経済にとってもプラスに働こう。この影響で金利も上昇するかもしれない。
でも、ぼくに言わせれば、こういう、配当と金利の関係で企業価値を捉える認識がすでにして古いのです。これは、ぼくだけの勝手な意見じゃなくて、(前にも書いたことがあるのですが)最近の金融工学をふまえたファイナンス理論の本を見れば、そう書いてあるはずです。
要するに、市場が効率的で企業価値を正しく評価するなら、配当せずに内部留保すると、確かにインカムゲインは減りますが、その分株価が上がってキャピタルゲインが増えるので、株主は損も得もしないのです。
ですから、配当するかしないかは、単なる利益の還元だけではなく、その利益を効率的に運用できる投資案件があるかどうかで決めるべきなのです。つまり、成長期にあって、投資案件がたくさんある場合には内部留保すべきですし、逆に、安定期に入って、投資案件がない場合には配当すべきなのです。
(なんか、偉そうに書いてますけど、こんなの常識だと思うんですよねー。正直、書いてるほうも恥ずかしいです(^^)。もし、奥村宏さんの本とかしか読んでないのだったら、その後の金融工学の本も、少しは読むべきだと思いますよ。)
ご指摘の通り、企業の買収と言うのは、市場の評価と、買収側の評価の間にギャップがある場合に起こります。したがって、無意味な買収劇を避けるには、市場の評価がより適正である必要があります。ですから、朝日さんにも、そのへんをもっとしっかり啓蒙してただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
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