« 鶏と卵 | トップページ | 「沈黙の艦隊」電子書籍化 »

Front Line の記録

 迷ったけど、結局買ってしまいました、「イエローマジック歌謡曲」。YMO の 3 人が作曲、編曲、プロデュースなどに関わった歌謡曲を集めた CD です。

 これを聴いてあらためて思うのは、今のなんでもありみたいな歌謡曲というのは、この 3 人 (もちろん、彼らだけではないが) が中心となって持ち込んだいろんな手法を引き継いで成立している、ということですよね。だから、ある意味、「イエローマジック歌謡曲」の精神をもっともよく受け継いでいるのは、つんくさんでありハロプロだと思うのです。

 そういう意味では、最初からハロプロの作るものが「歌謡曲」だと思っている世代から見ると、この CD に収録されているような曲を聴いても、なんとなくテンポの悪い下手糞な歌謡曲にしか聞こえないかも知れないですね。もちろん、ハロプロの方が時代が後だから、ある面ではずっと洗練されているところもあるし、カラオケが普及したおかげで、少なくとも歌だけは今のアイドルのほうがずっとうまいですからね(今聞くと、この時代のアイドルの歌の下手なことには逆に驚かされる)。

 でも、当時の歌謡曲はもうちょっと保守的で、わりと決まりきったスタイルがあったので、リアルタイムで聴いていた者にとっては、こういう曲たちは、みんな、歌謡曲としては「ちょっと変な曲」ばかりだったんですよね。ただ、それはやはり当時の歌謡曲を基準として聞いていたから感動した面もあったようで、今聴いても意外と感動しないです(そのへんは、ヒッチコックを今見ても、なんとかサスペンス劇場みたいなのと大差ないように見えるのと同じようなものかもしれません(^^))。もちろん、彼らがあえて歌謡曲というフィールドに実験的な曲を提供して、少しずつリスナーの耳を慣らしていった結果として現在のなんでもあり状態があるわけなので、そういう一種の歴史的資料としての価値はあるかな、と思いますが。

 もちろん、「春咲小紅」「玉姫様」「リセエンヌ」「NEO PLANT」(私は「都会の生活」バージョンの方が好きだが) など、今聞いても色あせない名曲もたくさん収録されていますが、この辺の曲は、そもそも歌謡曲ではない上に、他にまったく音源がないというわけではないので、マニアの人はすでになんらかの形で入手済みだと思うんですよね。それ以外の曲は、さすがに純粋に曲を楽しむという姿勢で聴いていてもつらいものが多いです。

 資料的価値と、アルバムとしての完成度と、どっちをとるかは、セールス的には微妙なところだとは思いますが、やっぱり素直に、「天国のキッス」と「ガラスの林檎」は入れといたほうがよかったのではないですかねえ(^^)。

|

« 鶏と卵 | トップページ | 「沈黙の艦隊」電子書籍化 »

文化・芸術」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/67762/3260004

この記事へのトラックバック一覧です: Front Line の記録:

« 鶏と卵 | トップページ | 「沈黙の艦隊」電子書籍化 »