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闘いと仁義

 市場経済というのは、確かに競争でもありますが、それは、社会全体のパイを大きくするという点においてのみ正当化されるわけだから、なんでもありというわけではありません。わかりやすく言えば、自分が前に出ようとするのはいいけど、単なる足の引っ張り合いはいけない。それでも、競争である以上は、すべての利害が一致するわけはないので、妥協なき闘いをしなければいけない局面も当然出てきます。

 フジ対ライブドアの対決において、フジ側は、「人間関係は金で買えない」という、ある種道徳的な主張をしていたわけですが、フジテレビがニッポン放送(あるいはポニーキャニオン)へのコンテンツ供給を打ち切ると言った時、あれーと思ったひとは多いと思うんですよね。だって、たとえライブドアが支配株主になったとしって、現場で働いている人が総入れ替えになるわけじゃないんですよ。なのに、それだけでこれまで築いてきた信頼関係がいきなり完全消滅するわけないじゃないですか。だったら、ライブドアの入っていない株主総会で取締役が更迭されても、やっぱり取り引きを打ち切るんですか? っていう話になってしまいますよね。だとすれば、それは結局、ライブドアと同じ「資本の論理」にすぎないじゃないですか。

 言うまでもないことですが、もともと、「人間関係を大切にする」という論理は、一歩間違えれば、「コネのない奴は、たとえ実力があっても排除する」という論理になりかねない面があるわけで、フジ側が「人間関係は金で買えない」みたいなことを言ったとき、多くの人は、その点こそを注視していたはずです。にもかかわらず、フジ側は、結局はよそ者排除としか思えないようなことを、平気でやってしまった。

 ぼくはもともと、放送業界とインターネット業界の利害は完全には一致しないのだから、旧 NTT に対する NTT DoCoMo みたいなのができないと、インフラの移行はスムーズに進まないんじゃないかと思っていたのですが、今回の事件は、結果としてそういう想像を裏付ける方向に進んでいるように見えます。つまり、フジの社長は、金づくでない話し合いには応じるようなことを言っていますが、堀江氏から見れば、これは最初から仁義なき闘いだったのではないか、という気がしてくるのです。

 まあ、ぼくもこういう愉快でない想像が当ってほしいと思っているわけではないので、フジさんが自分で言うほど「公益性」を考えているならば、たとえば、「トレソーラ」を通じてのコンテンツ供給などを、もっと積極的に進めてほしいと思います。今後も、どちらが正しいと簡単に決めずに、じっと見守っていますので(^^)。

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