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メディアと資本

 トラックバックもいただいたことですし、ここでちょっと、メディアと資本の関係についても考えて見たいと思います。私は、以下のようなポイントが重要だと考えます。

  1. アナログ地上波だけが映像放送メディアではなくなる
  2. メディアの公共性は、資本だけを制限しても確保できない
  3. 放送局=メディアではない

1.アナログ地上波だけが映像メディアではなくなる

 このブログでも何度か言及しましたが、かつては、アナログ地上波というのは、映像を広範囲に放送できる、ほとんど唯一のメディアでした。したがって、そのような公共財が公共の利益に反する目的に使われないように、放送法で制限をかけることには合理性があったと思います。

 しかし、ブロードバンド、衛星放送、ケーブルテレビなどの登場によって、この状況は大きく変わり、アナログ地上波は、映像放送メディアの One of them でしかなくなりました。

 さらに、従来のメディアでは、各メディアに固定したチャンネルを割り当てる必要があったのですが、インターネットでは、チャンネルにこだわらずアドホックに放送局を立ち上げることも可能になりました。

 もちろん、現在はまだ、アナログ地上波にしかアクセスできない人も多いでしょう。しかし、そのような状況は徐々に変わっていくはずです。そうなったときに、一部の企業に寡占を認める今の放送法が合理的でありつづけるかどうかには疑問があります。

2.メディアの公共性は、資本だけを制限しても確保できない

 メディアの公共性は、資本に制限を加えるだけで、自動的に確保されるというようなものではありません。

 たとえば、多くのコマーシャルメディアは、常にスポンサーからの圧力を受けていると言われますし、視聴者からの視聴料と国家による予算チェックで運営されている NHK の中立性にも疑問符がついています。また、スポンサーからの影響を排除しようとして、読者からの購読料だけで運営されることをうたった「週刊金曜日」などという雑誌もありますが、この雑誌がそれほど不偏不党かと言えば、首をかしげる人も多いでしょう。

 結局、メディアの公共性というのは、多用なメディアの共存を許し、互いに質を競い合うことでしか確保できないと考えられます。少なくとも、資本を制限すれば公共性が確保できるというほど単純なものでないのは確かでしょう。

3.放送局=メディアではない

 もう一つ重要な点は、現在の放送局というのは、単に放送事業だけを行っている企業ではないということです。

 たとえば、ニッポン放送は、コンテンツの企画製作事業、音楽・映像出版事業、関連商品販売事業、広告代理店事業などを行っています。

 したがって、仮に、放送事業そのものは放送法で保護するに値するとしても、このすべての事業を一律に保護するべきかどうかは疑問です。

 さらに、この記事などを見てもわかるように、フジテレビは、インターネット事業にも進出しようとしています。

「私は社内に対し、放送も通信に打って出ようと言っている。打って出ないと勝てない」

日枝社長:週刊東洋経済 2000年4.29-5.6号)

 つまり、純粋に放送事業をだけを行っている企業に対する資本参入を規制するならまだわかるのですが、一部で放送事業を行っているからと言って、その企業集団全体を保護してしまうと、それが逆に不公正な競争に利用されてしまう可能性もあると思うのです。

 あえて結論は書きませんが、少なくとも、このような点を考えておかないと、この問題にはマトモな答えは出せないと思います。

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