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それはちょっと違うのでは

 ライブドアのニッポン放送株取得について、いろいろ言われているようですね。ぼくは堀江氏には何の義理もないし、彼のやることをすべて支持するわけではないのですが、「金にモノを言わせて」という批判の中には、M&A に対する理解がちょっと表層的ではないかと思われるものもあると感じます。

 そもそも、どんな大企業でも、無限の価値があるわけではなくて、適正価格 (フェア・バリュー) というものがあります。企業を買収するときにも、適正価格より安く買えば得をしますが、高く買えばかえって損をするのです。したがって、堀江氏が得をするのは、

  1. 堀江氏が買収することによって、ニッポン放送の企業価値が上がる
  2. もともとニッポン放送の市場価格が適正価格より安かった

のどちらかの場合だけなのです。

 この場合、ニッポン放送の株は、フジテレビの TOB によって、すでに割高気味になっており、堀江さんはその TOB 価格より高く買っているのですから、2 の方はあまり考えられません。

 したがって、堀江氏が得をするためには、ニッポン放送の企業価値を、今よりも上げるしかないのです。ニッポン放送が現在もつ実体的な資産はもちろん、人材とか人間関係とか、そういう「組織特殊的な関係資産」みたいなものだって、今以上に活用できなければ、損するのは堀江氏自身です(もちろん、主観的には活用しようとして、結果的に潰してしまうことはあり得る(^^))。そして、企業価値が上がれば、(他の条件を同一とみなせば) 一般には、株主も社員も消費者も得をするのです。

 しかも、堀江氏は、ありあまっている金で買ったわけではなく、わざわざ借金をして買っているのですから(転換社債は転換されるとは限らない)、もし、高く買いすぎていれば、借金の利子分の利益も出ない(適正価格は金利との相関で決まる)ので、彼は大損することになるわけです。(注:金利なしの MSCB だということを確認したので、それについてはこっちに書きました。)

 もちろん、つっこみどころはいろいろあるだろうけど、彼は彼なりにリスクを背負っているし、それなりに公共の利益のことも考えているだろう、ということぐらいはわかってあげないと、ちょっとかわいそう、というか、あまりに不毛な議論になってしまうよなー、と思ったりするんですけど。

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