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「法と経済学」的に考えると

 森ビル回転ドア事故で、森ビル側の関係者が書類送検されたそうですが、この事件に対するちまたの意見は結構割れているようですね。

 こういうのを「法と経済学」的に考えると、どちらの責任にすれば、社会的費用が最小になるかが問題になるんですね。

 つまり、子供のしつけを厳しくしたり子供と歩くときには親が十分な注意を払ったり、というような手段で事故を回避するのにかかる費用と、ビル側が回転ドアに安全対策をして事故を回避する費用のどちらが小さいかによって、安く済むほう (これを、最安価損害回避者という) の対策をとったほうが、社会全体としては得をする、という発想をするわけです。

 このとき、もし、事故の前に加害者と被害者が取り引きをすることが可能で、その取り引き費用がゼロであるならば、どちらの責任にしたとしても、事前に取り引きが行われて、社会的費用最小の状態が実現する、という定理があって、これをコースの定理といいます。

 しかし、現実にはこのような取り引きが可能であるとは限らないので、そのときには、加害者側が最安価損害回避者である場合には過失責任ありとし、被害者側が最安価損害回避者である場合には過失責任なしとすればよい。そうすれば、ビル側も、簡単にできて効果の高い対策は進んでするようになるだろうし、歩行者側も、簡単にできる注意はするようになる。したがって、社会的費用最小の状態が実現する、というのが「法と経済学」的な解答になるわけです。

 こういう見方をすると、価値観の対立を相対化しつつ、いろんな方法を定量的に比較でき、いい意味での折衷案が作れるのがいいところだと思うのですね。(もちろん過信は禁物ですが)

 ただ、実際にはどちらが最安価損害回避者であるかはっきりしない場合も多く、また、情報や経済力の非対称性とか外部効果の有無とかを考慮に入れると、無過失責任という立場をとった方がよい場合もあるそうです。

 この事件の場合も、目分量で考えると、どちらが最安価損害回避者であるか、結構微妙な感じがするので、無過失責任として考えたほうがいいのでは、という気もしますが、専門外で情報も不足しているので、これ以上は踏み込まないことにします。

 参考文献:「「法と経済学」入門」小林 秀之 、神田 秀樹著

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