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女子高生と High School Girls はどう違うか?

 別にヒット数向上を狙っているわけではなくて(と言いつつ少しは狙っているが(^^))、あの大島永遠さんの「女子高生」の英訳版を読んだというお話です。

 まず驚いたのは、普通、縦書きのマンガを横書きの言葉に訳す際には、読む順序が逆にならないように、裏焼きにして左右を反転させ、左開きにするのことが多いのですが、この本は右開きのまま。

 また、描き文字なんかも、日本語の描き文字をきちんと消さずに、上から英語の描き文字を重ね描きしてあったりします。注意書きには、「原書に忠実に」みたいなことが書いてあるのですが、ちょっと手抜きっぽい感じ。

 もっとも、描き文字の差し替えがかなり大変な作業だということは理解できるので、これからは、最初から多言語出版を意識して、描き文字だけ別レイヤーに書いて後から合成する、みたいな方法が主流になるのかもしれません。(たぶん、Comic Studio みたいなのを使えば簡単にできるでしょう。)

 翻訳者のはしくれとしては、やはり、原作に散りばめられているコギャル用語がどう訳されているか、というところに一番興味があったのですが、たとえば、「ハブる」なんかにしても、"push out" とか "leave out" とか、わりと普通に訳してありました。

 以下に示すように、他にも、明らかに原書とニュアンスの違うところが散見されました。(ただし、原書は処分してしまって手元にないので、日本語の方は記憶で書いてます。)

  • 日「熊っぽい? フィーリングでしゃべんなよ。
  • 英 "Beastly? What's that supposed to mean?"
  • 日「カンベンしてよ。男を見る目まで落ちちゃうのかよ。
  • 英 "Serious? Your standards are that low?"
  • 日「結局、彼らはカラオケ部に入った(帰宅部とも言う)
  • 英 "So in the end, we didn't join any club and went to karaoke instead."
  • 「(RPG 風に)絵里子は協調性を身に付けた!
  • 英 "Eriko resorting to conformity."

 このマンガはもともとカルチャーギャップ・ギャグの一種で、女子高生の世界と言う、近そうで遠い「異文化」を楽しむマンガだと思うのですが、この英訳版では、そういう微妙なニュアンスはやや失われて、ただのおばかな高校生の話みたいになってしまっているような気がします。もっとも、英語国民にとって、日本は最初から異文化なので、この「近そうで遠い」感じを出すのが非常に難しい、ということは理解できますが。

 裏表紙の紹介文にも、"As the student body comes of age we witness their search for love, sexual controversy and the rivalry between cliques." などと書いてあって、明らかにふつーの青春コメディみたいに捉えられてますよね。

 とはいえ、アイドル "Hottie" 小田切センセイ直伝の「元素記号の覚え方」が訳してあったところはかなり笑えました。もっとも、ここを訳さないと、この話の後半ほとんど成立しないですもんね。かなりがんばったんでしょうねえ。(^^)

 というわけで、日本人がわざわざ英訳版で読む意味はあまりないような気がしますが、物好きな人はどうぞ。

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